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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十八話 ヴァンフリート4=2 (その3)
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。周囲の戸惑いを感じていないはずはない、しかしエーリッヒはリューネブルクからの回答を待っている。

「リューネブルク准将より連絡。第三次攻撃隊の必要無し、これより攻撃す」
その声に三度歓声が上がった。
「ナイトハルト、ワルキューレは上手く行ったみたいだ。上の艦隊と総司令部に連絡を頼む」
「わかった」

なるほど、エーリッヒは上空からの戦果確認だけでなく地上からの戦果確認も取ろうとしたのか。相変わらずやる事に隙がない。今のエーリッヒは貪欲なまでに勝利を求めている。いや参謀とは、軍人とはそう有るべきだろう、戦果に対し一喜一憂しているようでは戦局を制御できない。作戦立案能力、軍人としての姿勢、俺の及ぶところではない。この男を敵に回す反乱軍に同情したくなってきた。

「クーン少佐、ワルキューレが戻り次第、武装を宇宙空間用に切り替えるように手配してください」
「はっ」
「エーリッヒ、ヴァンフリート4でワルキューレを使うのか?」
「いや、念のためだよ。ナイトハルト」
そう言うとエーリッヒはまた黙考し始めた……。

■ゲルハルト・ヴィットマン

 艦橋内は喧騒に満ちていた。皆がそれぞれ指示を出し、確認をとっている。リューネブルク准将は順調に攻撃を進めているようだ。時折入る交信からそれが判る。交信が入るたびに歓声が上がる。でも大佐だけはその中に入っていない。一人静かに考え込んでいる。そしてそんな大佐をミュラー中佐が時折気遣わしげに見ている。さっきからずっとそうだ。きっとミュッケンベルガー元帥の艦隊が来ないのが心配なんだろう。

「大佐、ココアはいかがですか。皆さんも飲み物はどうでしょう」
思わず声をかけていた。大佐はちょっと驚いたようだった。でも
「そうだね。せっかくだからなにかもらいましょうか」
と周りに声をかけてくれた。

周囲からコーヒーという声が上がる。人数を数えると大佐が
「私にはココアを。ゲルハルト、大丈夫だよ、心配は要らない。ミュッケンベルガー元帥はきっと来る」
といってくれた。回りも皆頷いている。そう、大丈夫だ。

■エーリッヒ・ヴァレンシュタイン

やれやれだ。ゲルハルトに心配されるなんて、余程不安そうな表情をしていたのかな。ミュラーも時折こちらを見ている。俺は感情が顔に出やすいようだ、気をつけないと。
「上空の援護部隊より連絡。宇宙艦隊がヴァンフリート4=2に接近中です」
ようやく来たか。

「反乱軍が接近している兆候はないか確認してくれ」
「エーリッヒ、反乱軍が来ていなければ援護部隊を降ろすのか」
「そのほうがいいと思うんだが、卿はどう思う」
「同感だ」

「集結場所は敵基地の方にしようと思うんだが」
「なるほど、敵への威圧か」
「それも有るが、戦闘終結後の収容を少しでも
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