暁 〜小説投稿サイト〜
シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
出会い
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
会った事は無い。そもそも、その【中二病】と言う単語を知ったのだってネット上での事だ。

 様々な情報を得ようとした時、意味が解らなかったから検索をかけて知ったのだ。……無駄な知識が増えたとしか思えなかった。 

「まぁ……、冗談、だ」

 男はそう一言。
 冗談を言うときも、普通に話すときも表情が殆ど変わらないから察しが付きにくい。再び表情が引きつっていた自分に悠奈は気がついていた。男は、そんな自分にはおかまいなしに名を伝える。

「オレは日影。《日影刀真》だ」

 どうやら、今度は嘘じゃなさそうだ。

「じゃあ、えっと……。日影、さん……でいいかしら?」

 悠奈はそう聞く。
 姿を見れば自分より歳上だというのは解る。歳上に敬語も使えないほど、なってない事はないから。

「別に どうとでも呼んで構わない。……ああ、呼ぶのは勝手だが、後は指図は受けるつもりは無い」

 そう付け加えた。

「ああっ もう! そんな事言うつもりはないわよ! ……でも、指図じゃないけど、お願いはあるの。説得力無いって思われるけど他の人と争いをするな! とは言うつもり。後……」

 悠奈は後半は声が小さくなりながらそう答えた。

 今回始まったゲーム。
 今度こそ、誰一人として死なす事なく終えなければならない。それこそが、自分自身の生きている理由だった。だから、常にその状況で最適な行動をしなければならないんだ。だから……。

「……お願い!」

 悠奈は日影の正面に立つとすっと90度傾かせ頭を下げた。

「?」

 突然の事だった為か、刀真自身は何を言っているのか理解しきれなかったようだ。だが、その意味は直ぐに知る事になる。

「……私に協力して欲しいの。1人でも多くのプレイヤーを仲間にしたい。誰1人死なせない為にも」

 この時の悠奈の言葉を聞いて、その真摯に願うその姿勢から、彼女の心情を垣間見た気がした。普通ならば、このようなわけも解らない場所で目が覚めたら、パニックになるか疑心暗鬼になるだろう。だが、そうはならず 真っ先に自分の目的を果たす為に行動している。それは自分としても他人のことは言えないが、この悠奈の行動原理も気になっていた。

 これは、いままでになかった事だったから、ちょっとした好奇心が芽生えた影響なのかもしれない。

「お前は、なぜ頑なに全員の生存を夢見る? その感じから ……もう知ってるんだろう? これ(・・)がどう言うものなのかを」

 核心を突くようにそう言う刀真。
 これまでの言動から考えたらそれは容易に推測できるのだ。このゲームがどう言うものなのか知っている事に。

 つまりは……経験者。《リピーター》と言う事に。

 だが、それは他者には流せない情報
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ