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シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
出会い
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の時、悠奈は漸く行くことを決意した。

 その武器を使わせないようにと。

 だが……、まるで自分の決意を、……それを見越したかのように、今から行動を起こす。それまで、待っていたかのように、男から話しかけてきたのだ。

「……割と直ぐに存在には気がついてはいた。……が、あえて言うなら誰かを尾行する時は、自分の位置、それに 風向きに気をつけるといい。僅かな痕跡でも悟られると言う事は少なくない」
「ッ……!」

 その言葉に更に戦慄する。
 当然、悠奈はそれくらいの知識はある。だからこそ、慎重に尾行していた筈だ。風は殆どなく、巻いてもいない。距離も気配を消せる最低限はとっていた筈なのに。それを嘲笑うように男は言っていた。

「……それで。何か様か?」

 男は軽い姿勢のままそう聞く。だが、隙は微塵も見えない。

「……アンタの武器を没収する為よ。」

 悠奈は視線を鋭くさ、銃を構えたままそう答える。

「誰かが武装すれば、他の誰かも武装し……、そして争い始める。私は全員のクリアを願ってるの。だから、アンタに武器を持たせるわけにはいかない。」

 じり……っと悠奈は地面の感触を足裏で確かめながらそう答える。どのタイミングでも素早く動かせる為に。

「……それは、言ってる事とやってる事が矛盾しているぞ。お前の言う全員のクリア目的と言うなら、争いを好まないと言うなら、何故、武器を構える? 何故、銃口を向ける? ……武器を構えて、そのままで 友好を深めよう。……なんて言わないよな?」
「これは抑止力の為だから。……それに、私は誰も殺す気は無いからいいのよ」

 悠奈は更に一歩を踏み出した。

「……今度は説得力がないな。今のお前の表情……そして、お前の持つ武器、銃にかかる不自然な力。それに、足場条件を脚の感触で、確認した周到性。……和平は感じないな。少なくとも、オレの目にはお前は争う気満々に見える。――殺す気満々にな。そんな表情では予見させる事は出来ないぞ…? それでは言葉どおりだとして、穏便に済ませる所か逆に相手を更に警戒させる」

 男の言葉の一つ一つでまるでナイフの様に突き刺さってくるかのように緊張感が高まって行く。そもそも、自分もこんな風に接触しようなんて当初は考えても無かった。だけれど……目の前の男を前にそんな信念など露と消えてしまったんだ。

 余計な力が入る。緊張が取れない。

 嫌な汗が……冷たい汗が頬から流れ落ちる。悠奈は武器を握る手に力を込めた。

「……おしゃべりは、もうおしまいよ。もう一度言うわ。その武器を捨てなさい」

 悠奈は、返答をせずに武器にかける力を上げた。



『……この男はヤバイ』



 自分の本能がそう告げている。
 全員を生き残ら
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