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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第27話 「黒雨降る所以」
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うに覗いてみると、千冬さんとボーデヴィッヒが何やら話している。

「お願いです、教官。我がドイツでもう一度ご指導を!こんな極東の地では貴女の能力は半分も活かされません!」
「ほう・・・?」

珍しくボーデヴィッヒが感情を露にしている。しかも怒りや憎しみではない、必死の形相で千冬さんを説得している様子だ。対する千冬さんはいつも通り。いや、寧ろ普段より冷淡にすら見える。ありゃ完全に相手にされてないな。

「だいたい、この学園の生徒など教官が教えるに足る人間ではありません!危機感に疎く、ISをファッションか何かと勘違いしている!」

千冬さんに相応しいかどうかは別として、発言の内容自体は俺も概ね賛成だな。ボーデヴィッヒのような軍人や俺のような例外を除けば、人々のISに対する考え方は確かに生温いものだ。ISは兵器ではなくファッション、IS戦闘は戦いではなくスポーツ。モンド・グロッソの評価にすら操縦者や操縦技能に対する美しさが加味される始末だ。とはいえ、それは一般人とそれ以外の住む世界や価値観の差違の問題だ。一般人を軽蔑する理由にはなるまい。

「そのような者たちに教官が時間を割かれるなど・・・」
「そこまでにしておけよ、小娘。」

千冬さんがボーデヴィッヒの説得を遮った。流石にスルーでは済まされないレベルだと判断したようだ。まあ妥当な判断だろう。偏見に満ちすぎて聞くに堪えん。

「少し見ない間に偉くなったな。15歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る。」
「わ、私は・・・。」

何の感情も示さない平坦な声で、的確に言葉を選んで相手を一刀両断。おお、怖い。白兵戦でも舌戦でも格が違うわ、ありゃ。俺なんかつい楽しくって言葉だけじゃ収まらない状況作っちまうからなぁ。

「寮に戻れ。私は忙しい。」
「・・・くっ・・・!」

ボーデヴィッヒの必死の説得はあえなく失敗に終わった。彼女は何も言えずにその場を走り去っていく。あれだけ教官教官言ってるくせに礼もせずに去るとか失礼な奴だな。

「・・・そこの男子2人。盗み聞きか。異常性癖は感心しないな。」

やっぱりバレてたか。まあ俺は気配消すの慣れてるけど隣に隠密行動ド素人がいるからなぁ。ってか、教師が言うに事欠いて異常性癖ってどうなんだよ。注意するにももっと何かあるでしょうに。

「くだらん事をしている暇があるなら訓練でもしろ。このままでは月末のトーナメントで初戦敗退だぞ。」
「馬鹿なこと言わんでください。俺とシャルルが教えてるのにそんな結果許すわけないでしょ。」

天下の束さんの弟子と一国の代表候補生が親身になって教えているのだ。これほど恵まれた環境でISを学べる奴など一夏くらいのものだ。優勝してくれなきゃ困る。

「なあ千冬姉・・・。」
「・・・何だ?」


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