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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第27話 「黒雨降る所以」
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タネがあるのさ。」
「タネ?」

一夏は気づいてなかったのか。ボーデヴィッヒを除いた代表候補生勢はちゃんと見えてたみたいだし、まだまだ修行が足りんな、小僧。この優しい優しいお師匠様が教えてやろうではないか。

「まず、俺がビットを展開したのはお前が思ってるよりずっと前だよ。具体的に言うならシャルルとボーデヴィッヒが睨み合ってたあたり。」
「え、そうなのか?全然気づかなかったけど・・・。」

シャルルが素晴らしい状況判断能力を見せつけたあの場面だが、そこから俺の仕込みは始まっていた。

「シャルルがシールドを使って弾丸を防いだ時、結構派手な音が鳴ったろ?シャルルの洗練された動きも相まってボーデヴィッヒはもちろん、あの場にいた全員がシャルルに視線を集中させてたんだ。俺はそれを利用した。」

シールドに衝突して炸裂しなかったってことは弾丸は徹甲弾。その確認と共にシャルルの行動によって一時的な視線誘導を強制されたボーデヴィッヒの隙をついて、俺はビットを地面ギリギリの高度に展開して這わせるように移動させた。目的地は・・・。

「ピットの裏側の空間。ボーデヴィッヒの足下だ。」

ボーデヴィッヒからすれば完全に死角になるそのポジション。もちろん、ハイパーセンサーで警戒していれば移動中に捉えられていてもおかしくないが、シャルルの挑発と態度に業を煮やしていたボーデヴィッヒにはその余裕がなかった。

「後はタイミングを図るだけ。待つのも面倒だから自分で動いたけどな。」

本当は真っ当な説教をしながら様子を見て、暴れそうだと判断したら動く予定だったんだけどな。馬鹿なことに自分が先に暴れちまったから予定を変更してシャルルと同じように派手な演出をして視線を集めることに努めることにした。

「想定外の行動でボーデヴィッヒの視線を釘付けにし、そのタイミングで『白羽』をボーデヴィッヒの背後に移動、拡散させて囲む。タネを明かしちまえばその程度のことだ。」

マジシャンなら誰でも知ってる基礎の基礎。タネを仕掛ける最中は別の場所に視線を誘導すること。それがたまたま上手くいきすぎた結果がこれだ。こんな穴だらけのトリック、ちょっと意識すれば即座に看破できるし、俺も看破されるのを想定して動こうと思ってたから今回は拍子抜けだ。

(ホント、あれにはがっかりだわ・・・。)

せっかく楽しくなると思って期待してたのに、あんなに幼稚な策にも気づけないポンコツとは・・・。期待外れもいい加減にしてほしいものだ。一体何のためにあの時・・・。

「なぜこんな場所で教師など!」
「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ。」
「・・・ん?」
「何だ?」

寮までの小路を少し逸れたあたり、小川の畔で聞き覚えのある声がする。一夏と共にバレないよ
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