暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十七話 ヴァンフリート4=2 (その2)
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「……」
「はははは。冗談だミューゼル准将、卿が俺の下に就くような人間ではない事は判っている。第一、卿の方が俺より昇進が早かろう、違うかな」
「……」
やれやれだな。この程度の冗談でこうも動揺するとは。

「幸い、参謀長は物惜しみはされん方だ。対地攻撃にワルキューレを二百機用意してくれる」
「二百機? 百機では?」
「昨日参謀長と話す機会があってな、対地攻撃を増やしてくれと頼んだ」
「それで二百機……」

「第一次攻撃隊で百機、第二次攻撃隊で百機となる。攻撃隊の間隔は五分だ、卿に伝えておこうと思ってな。ワルキューレの敵基地到着までの所要時間は約三十五分、対地攻撃隊にはこちらから攻撃要請を出す事になっている。ミューゼル准将、卿に任せる。一気に攻略するぞ」
「はっ」

「リューネブルク閣下、地上降下地点まであと三十分です。」
「うむ。各部隊に命令。最終点検に入れ、降下用意」
「はっ。各部隊、最終点検に入れ、降下用意」
通信兵が命令を全部隊に通達する。頬を紅潮させるミューゼルを見ながら、俺は昨日の参謀長との会話を思い出していた。

■旗艦オストファーレン 参謀長室 十八時間前

 ワルキューレの増援要請は思いのほか簡単に通った。反対する参謀たちをヴァレンシュタインが説得してくれたようだ。参謀長室で二人で寛ぎながら、コーヒーを飲む。参謀長はココアだ。なるほど甘口というのは嘘ではないか……。

「参謀長よろしいのですかな。ワルキューレの件は」
「構いません。ヴァンフリート4はガス帯やその影響で通信波が通りにくい状況にあります。ワルキューレを使うのは危険でしょう」
「なるほど。統制が取れませんか?」

「ええ。それならむしろ対地攻撃に振り向けたほうが良いでしょう。一刻でも早く基地攻略を終了し全艦で敵を待ち受ける」
「敵は来ますか」
「……敵基地はかなり以前に作られた物のようです。何のために作ったと思いますか?」
「……補給基地、ですかな」
「小官もそう思います。だとすると見殺しは無いでしょう」

 妙な事になった。宇宙艦隊から避けられて此処へ来たのに、よりによって補給基地か。これは嫌でも戦闘に巻き込まれるな。ミュッケンベルガーの渋面が思い出される。それにしてもこの男、此処への退避が決まった段階で地上戦のことを俺に聞いていたな。偶然か?

「ミューゼル准将はいかがですか?」
「よくやっていますな。皇帝の寵姫の弟という事で出世したのかとも思いましたが、それだけではなさそうです。俺の幕僚に欲しいくらいだ」

「それは止めたほうがいいでしょう。彼は他者の下に就く男ではない。それだけの能力も意思も覇気も有る。今は皇帝の寵姫の弟という事で過小評価されていますが、いずれ皆、彼の元にひれ伏すか、彼と敵対して
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ