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慟哭のプロメテウス
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ウァンゲリオン)』はいるか」

 ──『十三死徒(エウァンゲリオン)』。

 それは、最強の『吸血鬼』達の名だ。

 彼等が『ファザー・メサイア』 と呼ぶ謎の人物の元に集った、吸血鬼の階級トップ、『大公級(グランデューク)』すら超越した、別次元の存在。

 その名の通り、全部で十三人。青年は、彼らを探していた。

「ははははっ! 益々面白いな! 知人に『十三死徒』がいるかどうかだと! ふははははっ! これまでにその様なことを我に問うてきた者はおらなんだ!」

 『吸血鬼』は腹を抱えて大笑しはじめた。なるほど、青年の問いは、それほど予想外かつ奇想天外だったらしい。

「……悪いが、我はどの派閥(レギオン)にも属しておらぬよ。我が友に『十三死徒』は居ない。欲しいものだな」
「そうか……」

 男の答えに、青年は目に見えて落胆した様子を見せた。

「なら死ね」

 そして次の瞬間、左腰のホルスターから抜銃、トリガーを引いた。
 たぁん! という軽快な音と共に弾丸が吐き出される。

「むぅ!?」

 しかしそれは、直後に気がついた男が、その左腕を高速で弾道に割り込ませた事で防がれた。服に包まれているとはいえ、生身の肉体と衝突したとは思えない、ガキィン! という硬質な音が響いた。

「……?」

 その音を聞き、青年は訝しく感じる。何度か銃弾を打ち込むものの、しかしそれらはやはり弾かれた。

 呆れたことに、その疑問に答えたのは当事者だった。

「ふははははっ! 見たか。これぞ我が刻印魔術。我が肉体は鋼の如し! 銃弾どころか魔術すら効かぬぞ」
「そうか、それはどうも説明ありがとう」

 ──馬鹿だ。

 青年は内心で呟いた。

 自ら情報を吐き出すなど、愚者か弱者のすることだ。少なくとも『侯爵級(マーキス)』の大『吸血鬼』のとる態度ではない。
 ブラフか、と思わなくもないが、しかしあのお喋りな性格から鑑みて、真実だと推測する。

 ──しかし……面倒だな。

 青年の武器は銃だ。そして地上に人類が舞い戻って、長きにわたる時が過ぎた現代であっても、未だ『魔術師』は非常に貴重だ。青年も、順当な魔術(フォーマルクラフト)()使えない。

 だが。

 順当でない手段なら、対抗の方法はある。

「次はこちらの番であるぞ!」

 男の右手に黒い光が宿る。『吸血鬼』が共通して持つ魔術の内の一つだ。右手から放たれたレーザー砲にも似た一撃が、飛びずさった青年の背後を通過し、遺跡の壁に穴を開けた。

「ふははははっ! まだまだまだまだァァッ!!!」

 『吸血鬼』はその両手から、次々と光線を打ち出してくる。そればかりか、光線ではなく投げ槍や矢のようにして、変幻自在
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