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ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
サマヨールとユウキ
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 時は少し遡る。
 具体的にはユウキが偽者と判断したヤンデレ系幽霊女から逃げ、最終的に追い詰められたところまで遡る。ゲンガーを先行させながら壮絶な笑みで追随したヤンデレ女に、ユウキが取れる選択肢は一つだった。

「頼んだサマヨール」

 無機質なボディに一つ輝く緋の瞳がギョロリと動く。
 頼れば答えてくれる彼、サマヨール。であるがしかしユウキの手持ちメンバーの中ではわりと奥の手的な存在である。おそらくゲンガーの技なのか、モンスターボールが開かないこの状況で頼れるのは既に場に出ていたサマヨールだけ。極力目立ちたくない、人目に晒されるのが嫌な彼に不満はあるだろうが頑張ってもらうより他なかった。
 相手はどうやってかキノガッサを瞬時に無力化した相手。攻撃特化のキノガッサではあるがユウキの手持ちを無傷で倒すなど低レベルのポケモンに出来るわけがない。油断できない相手なのだ。
 しかし反面ユウキは安心していた。
 その安心感はサマヨールへの絶対的な信頼の証。それを知っているからこそサマヨールは引き受けた。無言でサムズアップ決めながら構えるサマヨールを見て、ユウキが不安に思う事などなにもなかったのだ。





 ユウキと出会ったのはいつだったか。
 確か住んでいたおくりびやまが騒がしくなり始めて、すぐだった気がする。野生のうちは本能のままに人やポケモンを驚かすだけのゴーストタイプ。だからこそ、たまたま出会って、頂上へ向かおうとするユウキを止めたあの時の自分の気まぐれは褒めてやっていいだろう。
 あの時、ヨマワルだった私は普通に奮闘して普通に負けた。
 ただ何故だろう。ここで行かせれば何か取り返しのつかないことがおこるような気がして、身体がボロボロになろうとも何度も何度も挑んだ。後に『あいいろのたま』と『べにいろのたま』が盗まれたと知った時に得心したが、通してしまっていたらユウキは二つの珠に意識を乗っ取られていたはずだ。
 あの珠は使用者を操り、陸と海の支配者を呼び起こさせようとする。二つの珠はそれぞれ支配者の意識に繋がり、手にした者の自我を乗っ取るのだ。当然、のちにチャンピオンになる男がその資格を持っていないはずがない。何せユウキは空の支配者に認められたのだから。
 もちろん、引き止めていなければ根負けしたユウキが私にモンスターボールを投げることもなかっただろうし、ホウエン地方の英雄が一転、超古代ポケモンを目覚めさせた巨悪として教科書に名を連ねていたのかもしれないのだ。
 そういう意味では私の存在意義というものは見つかっていた。どこまでも空虚で、全てを飲み込む空洞を持つとされる私の中での唯一の光。それがユウキで、私の唯一の存在意義。感情の変化が無いに等しいゴーストタイプのポケモンとしては異常かもしれないが、そんなところが私がユ
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