九十九 新たなる
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験体として。
【呪印】を施されている忍びを死ぬまで実験するなど、ダンゾウにとってはほんの些細な事だ。むしろ【呪印】の秘密を探ろうと喜々として己の部下に実験させるだろう。
それらを危惧したナルトは、前以ってダンゾウに取り引きを持ち掛けた。
その交換条件として『うちはイタチの死』をダンゾウに伝えたのである。
ダンゾウにとって、うちはイタチとは、うちは一族クーデターの真実を知る厄介な存在だ。だからナルトはわざとダンゾウにとって有益な情報を与えた。この情報はダンゾウが各地に派遣している『根』の部下によって、すぐさま世間に知られる事になるだろう。
実はそれこそがナルトの狙いだとも知らず。
ナルトはダンゾウに取り引きを持ち掛け、その上で音の五人衆の死の偽造を手伝った。最も、状況が状況だけに完璧とまでは手助け出来なかったが。
何故ならナルトが傍にいるならともかく、音の五人衆達がそれぞれ闘っている場所はあちこちに散らばっている。とても容易には死を偽造出来ない。
故に特殊な術で彼らの死を偽造するのを目論んだナルトだが、その術の発動には一つ条件があった。
その条件とは、死を装う対象者の死を目の当たりにする人間が、必ず一人でなければならない。
したがって、それぞれが木ノ葉の忍び一人と対峙した次郎坊・君麻呂・多由也は死を偽造出来たが、第三者がいた鬼童丸と右近・左近は条件が整わず、『根』に生け捕りにされたのである。
ダンゾウとて易々ナルトに従うはずがない。ハヤテからナルトの取り引きを耳にするや否や、彼は部下であるサイに命令した。
サスケを追った木ノ葉の忍び達を監視し、機会があれば敵の忍びを生け捕りにせよ、と。
よって、いのと左近の戦いを見張っていたサイは意図せず、いのを助ける結果に繋がったのである。
実際は落下する音の忍びを捕らえるのが彼の目的だったのだが、秘密裏に捕らえよとの命令に従い、サイは左近の捕縛に成功した。
一方の鬼童丸は途中で参戦してきたヒナタ・シノという二人と対峙した為、条件が合わず、ナルトの術は発動出来なかった。その上、シノの【奇壊蟲】にチャクラを吸われた状態時に『根』に襲われたので、為すすべなく捕縛されたのである。
他三人はナルトの術発動条件に合った故、死んだと見做されている。ちなみに多由也の場合は、赤丸の眼があったので前以って己の幻術をも仕込んでおく事で死を偽ったのだ。キバが見た、多由也の自殺は彼女の幻術だったのである。
以上から、思惑通り二人の音忍を生け捕りにしたダンゾウは、彼ら二人の生存を五代目火影には一切伝えなかった。
何故なら彼は、ナルトとの取り引きにより実験出来ぬなら、己の優秀な手駒にしようと考えていたからである。
その企みをも、既にナルトが把握しているとも知らず。
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