九十九 新たなる
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目覚めると、其処は見知った白だった。
(あぁ……そうか、)
四方を白一色に塗り潰された室内で、ナルはぼんやりと首を巡らせた。
さらさらと揺れるカーテンの白が陽射しでベージュ色に染まっている。カーテンを通して透かし見える光景が、彼女を落胆させた。
里にいるという事は、つまり自分は、途中で力尽きたのだろう。
(そうか、オレは…)
ナルはハッと眼を見開いた。勢いよく起き上がる。
途端奔る激痛に、彼女の身体は再びベットへと沈み込んだ。咄嗟に閉ざした瞼の裏に、寸前までの記憶が甦る。
ナルの記憶では、サスケを追った先で、以前別離に終わったアマルと再会した。そしてどうやら協力してくれるらしい我愛羅の登場により、アマルと、そしてもう一人の音の忍び――ザクと闘う事となった。
傍観者のまま戦闘に加わろうとしないアマルにホッとしつつ、ザクと闘うナル。最中、新術を一番に見せるというアマルとの約束が彼女の脳裏に過ぎった。
土壇場で術をものにし、発動した【螺旋丸】。それをザクに放った瞬間、ナルは己の身を取り囲む霧に気づいた。
いつの間にか、アマルが【毒霧】を辺りに立ち込めさせていたのである。
【忍法・毒霧】――…一吸いでもすれば猛毒が全身に廻る、危険な毒物。シズネがアマルに教えた術。
かつて三忍が揃った際にもアマルが使った手によって、ナルの【螺旋丸】はザクに直撃せずに終わる。
代わりに激突した岩が粉々に砕ける様を見て、青褪めるザクとは対照的に、アマルはどことなく嬉しそうな表情をしていたように、ナルには見えた。
毒の霧に阻まれ、尚且つザクの【斬空極破】の威力を少なからず受けてしまい、気が遠くなる。
霞む視界の中、ザクを促して立ち去ろうとしたアマルの唇が一瞬だけ動いた。
それは声無き賛辞だった。
『約束守ってくれてありがとう』
ナルの耳朶には、かつての友の微かな声だけが残る。
そこで彼女の意識は途絶えた。
憶えているのは、そこまでだった。
毒霧の中倒れた自分は、現在病院にいる事から、誰かに助けられたらしい。
全身の痛みは、ザクの攻撃によるものか、それとも毒霧の毒の効果か。
どちらにせよ、ベットから容易に起き上がる事は出来そうになかった。
激しい痛みに悶えるナルの耳に、ややあって扉の開く音が届く。
「なんだ、起きてたのか……大丈夫かっ」
そう言うなり、慌ててベットへ駆け寄ったシカマルがナルの顔を覗き込む。案ずるようにこちらを見つめるシカマルの服裾に、彼女は震える指先で縋り付いた。
どうか―――どうか、そうあってほしくない真実を求めて。
「ど、どうなったんだってば?皆は、アマルは、………サスケはッ?」
勢いづき過ぎて咳込むナルの背中を、
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