―ラヴデュエル―
[1/11]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
デュエル・アカデミアのスタジアム前の廊下。そこで明日香と再開した俺は、彼女に異世界であったことを訪ねていた。ユベルによって砂の異世界から、また別の異世界に飛ばされていた俺たちは別々に、闇魔界の軍勢と戦うことになっていた。
しかし敗北した明日香は邪心経典の素材として、無理矢理モンスターと融合させられてしまっていた。そのまま俺とデュエルすることとなり、邪心経典の生け贄となって消滅していた。その後、俺もユベルに喰われた為に詳細は分からないが……十代か三沢の力によって、俺たちはアカデミアに戻ってきていた。
「デッキ、取り戻してくれたのよね。ありがとう」
戦っている途中に明日香はデッキを取り落としてしまったらしく、異世界にいた他の人物が持っていたのを俺が取り返していた。なら自身のデッキがない間、彼女がどうしていたかと、一つのデッキが俺に差し出されていた。
「あなたのデッキ、貸してもらってたわ」
「それは……」
俺がどこかで落としていたもう一つのデッキ。普段から使っている【機械戦士】ではなく、半ば実戦には耐えない【風霊使いウィン】デッキ。要するに《風霊使いウィン》のファンデッキであり、以前に一度だけ明日香とデュエルしたことがあった。
「【機械戦士】じゃなくても、私に力を貸してくれていたみたい。遊矢がカードを大事にしてくれる証拠よね」
そう言って明日香はニッコリと笑う。こちらが女性キャラのカードのファンデッキ、という最も見られたくないものをそのように嬉しそうにされ、内心悶え苦しんでいるにもかかわらず。相変わらず、明日香はそういうところは無頓着だ。
……相変わらず、だ。
「あ、ありがとう」
「そういえば……私にも好きなカードがあるの。ほら」
もちろん俺の【機械戦士】と《風霊使いウィン》のように、明日香が普段使っている【サイバー・ガール】とは別種で、ということだろう。デッキケースの中から一枚のカードを取り出すと、明日香は俺に見せてくれた。
「《迷犬マロン》……?」
何の変哲もない低レベルのコモンモンスター。その効果というよりは、様々な種類のシリーズカードがあるという事が有名なカードだ。
「ええ。異世界で拾ったんだけど、何か気に入っちゃったの」
この後のことを知ってると、ちょっと複雑だけど――と言いながら、明日香は《迷犬マロン》をデッキケースへとしまい込む。これから《迷犬マロン》を待ち受けている運命は、アカデミアの学習を通して明日香も覚えていたらしい。
「この子みたいに、っていうのもなんだけど。遊矢も目が覚めたし……私も頑張らなくっちゃね。また、あんなことがあってもいいように」
――これ以上強くなられたら、こちらの立つ瀬がない……と言いたくなるのを堪え
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ