Side Story
無限不調和なカンタータ 6
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「あ、そっか」
『細かい理窟は置いておくとして、今はとりあえず空気自体が小さな球体の集まりで、その球体の集まりが動けば風になるのだ、と考えれば良い』
「ん〜。その球体よりも小さい物質が集まって出来てるのが魂なんだね?」
『そうだ。魂を形成するその極小な物質の一つ一つが、濃い生命力と意思に近しい方向性を持ち、それによって物質同士の衝突や競合等での集合体化が世界中、いつでもどこでも常に起きている』
「んんん〜〜……泥を丸めて大きくしていくとか、そんな感じ?」
『自主性の有無を除けば、その解釈でも間違ってはいないな。結果、一定の大きさを得た集合体は、密度や性質が似て異なる別の集合体と引かれ合い、既に完成されている生物の肉体に根を下ろすことで、新しい体を発芽させる種子となる』
引かれ合うというより、分別? かしら。
小さい物は大きい物の間をすり抜ける、的な。
『やがて親の情報を取り入れた種子は、成長の過程で外殻と体を動かす為の運動熱量、それを全身に循環させる司令塔ながらも、体とは別で経験による記憶を記録する気流に分かれ、全部で一個の生命体として活動する』
「魂と生命力って、別物なんだ?」
『別物だ。故に、常であれば、何らかの理由で熱量と気流が分断された体は病気などでの故障状態となり、体の致命的な損傷は、気流を循環の外側へと流出させ、散逸させる』
散逸?
ああ、そうか! だから、死際に『ザザーッ』って音が聴こえるのか!
あれは、魂を形成していた物質の一部が体から溢れ出る音だったのね。
『音』を特性に持ってる私だって、実際には空気……
伝達物質の構成を、目で捉えてるわけじゃない。
あくまでも耳と肌と周囲の変化で、動きを感じ取ってるだけ。
その空気よりも小さい物質の個なんて尚更、目に見える筈がない。
悪魔の目に映る魂。
人間がごく稀に見る、生前の強い意思の具現。
それは、集合体としての密度と構成の質に関係してたのか。
なるほど、……って……
神に教えられるとか、屈辱すぎるーつ!
答えが解ってすっきりしたけど、イライラ度は急上昇よ、チクショウ!
『『言霊』は魂を支配する力と称されているが、その実態は『物質の個々に方向転換を働きかける力』。
昨夜までの私が、物理的に殴るような形で無理矢理器を崩していたのとは違い、グリディナは『波』と同じ原理を使いつつも、体と魂を構築している物質の個々に自主変化を促しているのだろう。
間違いなく群を抜いた力量なのだが……ここまで来ると、果たして本当に『音』特性と呼べるのか、甚だ疑問だ』
……ん?
だろ|う《・
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