第十二話 改革の芽
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テストだけど誤飲が目立ってるって」
「置き薬……か」
置き薬は日本独自の医薬品販売法で、販売員が消費者の家庭や企業を訪問し、医薬品の入った箱を配置し、次回の訪問時に使用した分の代金を精算し、集金する仕組みの事だ。
医師の居ない農村など、通院することが難しい地域や、軽度の風邪などで初期医療に関わる費用を軽減できるメリットに注目して、テストの名目でトリスタニア郊外の村々に配置したが、どうも誤飲が目立っているようだ。
「原因は?」
「……字が読めなくて、うろ覚えで選んでしまった為。だ、そうだ」
「それは……盲点だったな。この手の解説はちゃんとしてあるんだろ?」
「転売禁止も含めて、その辺はしっかりと教育してるようだが。薬なんて毎日使うわけでもないし……まぁ、忘れるよな」
「うーん」
「で? どうするの?」
「……そうだな。絵で解かり易くするのはどうだろう?」
「あ、良いね。『絵で解かり易くするように』って書いとくよ」
「任せた」
「ああ」
この後、置き薬システムはトリステイン全土に行き渡たり、多くのトリステイン国民を救う事になる。
こうやってスキルニルと話しながら、マクシミリアンは思う。
(こうやってタメ口で馬鹿を言い合えるのが、スキルニルで作った自分自身だけ、というのは悲しすぎる)
以前は、グラモン家のジョルジュが付き合ってくれたが、王子にタメ口を言う光景を見た、とある貴族が。
『不敬ではないか』
と、鬼の首を討ったかのように、グラモン家に『お伺い』をしてきた為、元に戻ってしまった。
王子と貴族の子供との身分の違いを考えれば正しいのだが、前世が平凡な一市民だったマクシミリアンにとっては馬鹿を言い合える友人が余所余所しくなったと感じ、少なからずショックを受けた。
「……王族ってのは、孤独なもんだな」
「ん? 何か言った?」
「いや、なんでもない」
「そう」
誤魔化す様に言うと作業に戻った。
☆ ☆ ☆
……二人のマクシミリアンが黙々と作業を行っていた頃。
トリステイン王国国王エドゥアール1世は執務室で執務を行っていた。
エドゥアール王は、提出された報告書の一つ一つを吟味しながら採決している。
ちなみに、この報告書は、最近、開発されたばかりの木製紙を使った物だった
そして、報告書に書かれてある内容は、主に財政関連と北部開発関連で、トリステイン王国の財政が緩やかながら回復傾向にあることを示していた。
「流石はマクシミリアン殿下。この件で、トリステイン経
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