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水の国の王は転生者
第十二話 改革の芽
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が、たまに時間を作って機嫌をとるようにしている。
それと、この作業が外部に漏れて異端認定されるのを嫌い、父王エドゥアール1世とラ・ヴァリエール公爵夫妻ぐらいしか、この研究を知らない。
ワルド子爵らにすでに知られているが、今まで噂にすら上がらなかったことから、喋る気はないらしい。

……ともかくマクシミリアンは最後の締めを行っていた。

「……」

「……」

二人とも無言のままそれぞれの作業に没頭していた。
ぽこぽこと水槽内の培養液が循環する音と、ぺらぺらと書類をめくる音が室内を支配していた。

「ん、北部開発の報告書が来てるよ」

「順調に行ってる?」

「まあ、順調だね」

およそ一年前、ラ・ヴァリエール公爵家から帰った後、北部開発の予算が下りたため、家臣団に指示して四輪作法を始めとする新農法と公共事業を実施した。
最初に取り掛かったのは食糧問題。四輪作法の実施一年目の為、目に見える成果はまだ無い。だが、四輪作法による生産力アップと減税によって、トリステイン国民全体に食料が安く行き届くようになり、わずかに人口増加の兆しを見せている。
以前にも解説したが、四輪作法、またの名をノーフォーク農法は、大麦→クローバー→小麦→かぶの順に4年周期で行う農法だ。
マクシミリアンはロマリアから『てんさい』……またの名を砂糖大根を大量に輸入して砂糖大根の栽培を奨励させた。
これはトリステイン王国にて、新たに製糖産業を興す為でもあり、トリステイン北西部のヴァール川河口付近に建設中の新都市に製糖工場を作る計画だった。
さらに、ヴァール川に運河を建設して各河川を水運で繋げる計画もあった。
次に、四輪作法で生産力アップで家畜用の牧草も大量に賄う事が出来るようになった為、羊や牛と言った家畜もその数を急激に増やした。結果、大量の羊毛が安く市場に出回り、トリステイン第二の都市で元々縫製職人が多かったアントワッペンは被服業や織物業といった軽工業のメッカに成りつつある。
これは、マクシミリアンも家臣団も、ノータッチでアントワッペンにやり手の商人が居る事を知った。
そして、本命の公共事業の内容は、道路、河川の整備である。追加の予算が得られれば、海岸部の干拓を行う予定だ。
高額の資金が動く公共事業によって、新たに発生した雇用を求めて北部および北西部に人々が移り住むようになった。
人々が集まれば、それらを当てにした新たな商売も次々と生まれる。

(金の巡りは血の巡り……ってね)

血が勢い良く巡るようになれば、身体が熱くなる。
永らく不景気に喘いでいたトリステイン王国は少しづつだが景気が好転してきた。

「……北部開発はオレがしゃしゃり出なくても家臣団に任せておけば大丈夫だろう」

「まぁ、そうだろうね。さて次、置き薬の
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