十五話
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とか出来るあてもありますので」
何とかすると言った当たりで詠春は驚愕したが、ネギの言うあてとやらが嘘ではないと察したのだろう。特に反対する事は無かった。
「それでですが、此方の総本山を近衛木乃香防衛の拠点として使わせていただきたい」
「その申し出を受けましょう」
さすが、というべきかこの総本山に張り巡らされている結界はかなり強固なものだ。度々言っているが、相手には最強クラスの者がいるため安全、というわけではないが一般人が多くおり派手に動けない旅館などよりはよっぽどましだろう。
「では、学園長に頼んで近衛を此方に滞在させる理由づけを……」
携帯を取り出そうとポケットに手を伸ばした所で先に携帯が振動した。ネギは詠春とアイコンタクトをして携帯に出る許可を得ると携帯を開いて画面を見た。
「刹那からです。何かあったのかもしれません」
画面に表示されたのは桜咲刹那の文字。もしや何かがあったのかとネギは急いで通話ボタンを押し、次いで詠春にも聞こえる様にスピーカーボタンを押した。
『ネギ先生!』
「刹那、落ち着いて状況を説明しろ」
携帯を通して聞こえてくる声にはあまり余裕がない。ネギは落ち着くように一声かけて、状況を説明するように促す。
「襲撃です。方法は投擲による攻撃! 投擲物は棒手裏剣!」
「厄介ですね」
そう、詠春の言うとおり厄介だ。刹那たちは班で行動していたはずなので少なくとも襲撃開始時は周囲に人がいたはずだ。そして、周りに人がいる故に刹那は投擲物の回避を封じられている。
「人気のない場所には、いけんだろうな」
選択は二つ。人気のない場所に移動して相手を誘うか、逆に今以上に人が密集する場所に移動し、相手の攻撃を封じつつ身を隠すかだ。前者は修学旅行で観光をしていただろうから早々人気のない場所になど行けるわけがないだろう。後者は、さすがに一般人に被害を与えることはないだろうという希望的観測が入るが有効ではあるだろう。
『ひとまずシネマ村に向かおうと思いますが』
刹那もネギと同じ考えに至ったのだろう。案の是非を問うてくる。ネギはそれにすぐに返事をすることなく、詠春を見やった。この案はある意味一般人を盾にするということだ。そんな案を、この地をこれまで守ってきた組織に許可を得ずに行うのは不味いだろう。
「ひとまず、その案でいきましょう。刹那君、このかをお願いします」
『この声は長! おられたのですか!?』
「刹那、私も至急シネマ村へ向かう。それまで、頼んだぞ」
『はい!』
刹那の強い返事を最後に、電話は切られた。
「それでは、私は現場へ向かいます。近衛を保護したのち、此方へ戻ります」
「分かりました。娘を、お願いします」
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