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王道を走れば:幻想にて
第四章、序の2:誓約 ※グロ注意
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いるあの化物も、人間なのだとレイモンドは言っているのだ。人間であった名残が手足の形や腸の形状なのか。化物へとされてしまった事への怨念が、あのような悲惨で生々しい悲鳴を上げさせるのだろうか。
 レイモンドは喜色にしわがれた頬を赤くさせて、ばっと背を向けた。

「・・・気分が晴れた。帰るとしよう。・・・騎士よ」
「は、はっ・・・」
「この事は黙っておれよ?信頼しておるからな・・・」
「・・・はっ・・・」
  
 禿げ男よりかは俄かに健康そうな顔色をした騎士は重々しく首肯し、傷ついたような表情をしながらレイモンドの後を追っていく。不確かな足取りが、若人のような浮き足を追って石床を踏み歩いていった。 

「・・・どうなってしまうんだ、俺は・・・」

 残された男は悔恨にも、諦観にも似た思いでそう呟いた。死肉を喰らう粘着質な音楽が流れる中、男はただただ己の将来の絵図を想像しようとするも、その全てに執政長官の顔がちらついて霧散してしまう。さりとてこのまま立っている事もままならない。再び上司の要請に応えられるよう、この広間を清潔なものとする職務が残っているのだ。
 男は自分の頬を何度か叩いて、冷えた鉄のように重い足を動かしていく。過去に誓った忠誠が頑丈な鎖となって男の理性の首を締め付けている。ただの人の食事がこれほどまでに精神を消耗させるものかと、男は億劫そうに心の中で呟いた。

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