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王道を走れば:幻想にて
第四章、序の2:誓約 ※グロ注意
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っけて断頭斧のように振り落とした。鳥が頸を絞められるような鋭い悲鳴が響き渡り、家の内外に動揺を齎す。

「今何かすんごい悲鳴が聞こえましたけど」
「嬉々として言うんじゃない・・・」

 屋敷を警備していたユミルは、ふと舞い降りた修羅場に期待の笑みを膨らませるパウリナを見詰め、暑さに負けるように力無く突っ込みを入れた。





「・・・あの、大丈夫でした?」
「・・・うん」

 修羅の怒りを買ってしまった慧卓は、頭頂部に走る鈍痛を耐えながら潔くキーラによる治療を受ける。椅子の足による殴打は本気のものではなかったが、小さな瘤が出来るには充分な威力である。そのお陰でキーラの自室で温かな看病が受けられるのだから、人生の先行きとは不透明である。
 室内は整理と清掃が行き届いた清潔さに満ち、本棚がびっしりと厚い本で埋まっていた。慧卓は畏れ多くも彼女の寝台に座って、治療を受けている。

「御免なさい。お父様は私の事になると直ぐにああなってしまうのです・・・特に最近は」
「そ、そうなんだ・・・なんかほろ酔い気味だったから変に思ってたんだけど」

 そうとは言っても、慧卓は自らの言葉に些か過激なニュアンスが入っていた事を認めていた。多感なキーラの父君に対して言うべき言葉では無かった。吐瀉のショックと酒気の煩わしさが平常心を奪っていたのだ、そう心中で己を弁明する。
 そこまで思ってから、キーラに対して敬語を用いなかった事に気付いて謝罪した。

「あ、失礼しました、敬語も使わずに話すだなんて」
「い、いえいえ、寧ろ敬語なんていりませんよ。友人同士のお話なんですから、ね?」
「そ、そうですか・・・じゃぁ今から敬語無し、だな」
「はい・・・あ。う、うん・・・それで、リビングではどんな話をしてたの?その、叫びの所だけは・・・聞こえたんだけど・・・」

 キーラは一度視線を逸らしてから、再び慧卓に上目遣いに目を向けた。気恥ずかしげに目元を細めている様子に、慧卓は俄かにうろたえつつも順を追って話していく。

「え、えっと、順を追って話すけどさ。俺が騎士になってさ、最初の任務が下されたんだ。北嶺調停官補佐役ってやつでな」
「す、凄いね・・・叙任数日でそんな大役を?・・・でも、ケイタクさんなら不思議じゃないかぁ」
「そうなの?」
「まぁ、私から見ればそうだよ?」
「・・・その任務なんだけどな、調べれば調べる内に物凄く重要で大変な役職だって事が分かったんだ。俺一人じゃ如何にもならないくらいにさ。でも規定によれば役職に就く人間は職務の妨げにならない範囲内なら助っ人を同伴させても良いって解釈出来るよ、ってブルーム郷が教えてくれたんだ」
「それ、確か五十年くらい前の王国裁判所の判例だと思うよ。仕官の副官はどの程度の範囲内なら、他人
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