第十話
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。今にも爆発してぶちまけそうな表情を高城はしている。
「ええ、凄いわ。それが自慢だった、今だってそう。これだけの事を一日かそこいらで……」
高城は今にも泣きそうだ。悲しみ、怒りが入り混じった自分でも制御できない、心情を爆発させそうな感じだ。
「でも……それが出来るなら」
「高城……」
「名前で呼びなさいよ!」
高城はヒステリーを起こしている。普段は理論派の高城が、ここまで感情を爆発させるという事は、それだけ本人にとって我慢できないことが起きたか、それとも両親との接触で何かのたかが外れたのか?それは分からないが、ここは基本的に高城を知らない俺より小室に任せた方がいいと判断した。
俺より、幼いころより高城を知っている小室の方が適任だろうとの判断だ。
「ご両親を悪く思っちゃいけない。こういう時だし、大変だったのは皆、同じだし」
「いかにもママが言いそうなセリフね!」
「おい、高城」
「分かってる、分かってるわ!私の親は最高!!妙な事が起きたと分かった途端に行動を起こして、屋敷と部下とその家族を守った!凄い、凄いわ、本当に凄い!」
高城は心の奥底から叫ぶ。その光景に周りは固まる。
俺達の中で、高城は確かに高飛車だが、それでも理性的でどんな最悪な状況でも冷静に分析して感情論をださないという認識していただけに、まわりは黙ってしまう。それでも高城は叫び続ける。両親も一人娘の高城の事を忘れたわけではなく、諦めたわけではない。むしろ、一番に安否を心配した。だけど……
「生き残っているはずがないから、即座に諦めたなんて!」
そういう事だ。確かに、高城の両親は、娘を心配した。だけど、この最悪な状況で、生き残る可能性はゼロだと判断したのだ。人が沢山に密集している学校で、あんな騒ぎが起きれば生き残る可能性がゼロだから、身近に存在する部下と、その家族達の生命を優先したのだ。
つまりは、9を救い1を切り捨てる。第三者の目から見れば、高城の両親の行動は、被害を最小限に抑えて、助かった人間からすれば「よくやった」と絶賛されるだろう。だけど、犠牲となった1からすれば、冗談ではないと思うだろう。
しかも、その1の犠牲の所に、信頼して尊敬していた両親に認識されてしまった時の高城の心情は……考えるまでもない。高城の心情は、裏切り、失望、絶望等の負の感情で支配されただろう。誰もが高城の言葉を聞いて動き出せない。
これだけの事を聞かされて、高城の言った事だけを信じるなら、高城の怒りも納得が出来ると判断する人間もいるかも知れない。だけど一人だけ、高城に反論した。
「やめろ、沙耶!」
小室だ。小室が高城の胸倉を掴んで、彼女の爪先が浮くくらいに掴んで掴みあげている。小室の行動
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