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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十六話 ヴァンフリート4=2 (その1)
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。キルヒアイスに「先に戻っていてくれ」というとヴァレンシュタインはキルヒアイスの同行も認めた。俺は正直面白くない。リューネブルクの下で地上戦など不本意以外の何者でもない。何を考えている、ヴァレンシュタイン。

「先程の会議ですが、何故あんな事をしたのです」
「なんの話だ」
「偵察隊のことです。周りの意見を聞かず、いきなり小官の意見を求めましたが」
「参謀長の意見を求めるのは当然であろう、卿の言っている事が私にはわからない」

「閣下はご自身の意見が反対されるのがわかっていた。それゆえ小官を使って反対意見を押さえつけようとした。違いますか?」
その通りだ。あいつらに話しても無駄だからな。
「……時間の無駄だ」

「軍議なのです。時間を掛けるのは当然でしょう。小官にできた事が閣下に出来ないとは思いません」
「……」
馬鹿を相手にするのはごめんだ。
「馬鹿を相手にするのはごめんですか、だから小官に相手をさせたと、」
「!」

「その様子ではリューネブルク准将の下につけたのも不満そうですね。でも准将は地上戦の専門家ですよ」
「何故私が地上戦をしなければならないのだ、ヴァレンシュタイン」
「勝つためです。他に出来る人がいません。それだけです。」
「……」

「閣下は勝利を得る事よりも御自身が武勲を上げる事を優先していませんか?」
「な!」
「自分さえ武勲を上げれば良い、だから周囲との協調など必要としない」
「ヴァレンシュタイン大佐、少し言いすぎでしょう」
「キルヒアイス大尉。ミューゼル准将を甘やかすのは止めてください」
「甘やかす……」

「そうです。今はまだ准将という低い地位にいるから目立ちません。しかし、これから先昇進すれば権限も動かす兵力も大きくなります。責任も大きくなるのです。そういう立場の方が自身の武勲を優先させるようになったら軍はどうなります」
「ラインハルト様は、いえミューゼル准将はそのような方ではありません。」

「ラインハルト様ですか……卿は帝国の軍人である前にミューゼル准将の家臣になっていませんか。だから准将を甘やかしている」
「!」
「これから先、より上位へ登っていこうとするならば、個人の武勲ではなく軍の勝利のために行動すべきでしょう。そうでなければ誰も閣下にはついてきません。孤立し結局なにも出来ずに終わります」

「小官は閣下を天才だと思っています。ですが、天才である事と天才が組織の中でどう生き
るか、組織が天才をどう遇するかは別問題です。上手く折り合いをつけ、より高みに登って欲しいと思います」


■ジークフリード・キルヒアイス

 私とラインハルト様は参謀長室を出た後しばらく無言のまま歩いた。ヴァレンシュタイン大佐の言葉が耳にこだまする。
「ミューゼル准将
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