暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第219話 囚われの美女
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 この怒濤の攻撃。無数の剣撃と矢による波状攻撃。まさに全てを根刮ぎもっていく暴風雨が如しだ。それまでの鬱憤。金と黒が揃っていた時のやりにくさの時に溜めに溜めていた鬱憤の全てを解放するかの様な大技の乱舞で 瞬く間に黒ミノタウロス邪神に引導を渡した。

「……ここまで やりにくい、って思ったのは久しぶりかもしれない、な」
「……ははは」

 相手を倒し、剣を収めながら呟くリュウキの言葉を耳にしたキリトは、若干苦笑いをしていた。最期は怒涛の攻撃を受けて、あっという間に散らした黒牛のアバターだったのだが、リュウキの言葉は、最大級の相手への賛辞だと思えたからだ。

 これまでの戦い。……勿論ゲーム(・・・)であり、遊び(・・)でもある世界において、リュウキの口から、そんな言葉を訊いた事があっただろうか? 異常なまでの強さを誇る人型邪神を単独撃破をしてしまった程の男が、『やりにくい』とまで言ったのだから。
 

――……一先ず、一山越えたかな。

 
 時間はまだ十分……とまではいかないが大丈夫であり、キリトはホっとなで下ろしていた。だが、キリトがホッとしたのも束の間。

 丁度、アイテムが次々に転がり込んでくると言うのにも関わらず、何やら興奮気味のクラインがぐるりと振り向くと叫んだのだ。 

「おら、お前ら! いったい何だよさっきのは!?」

 そのクラインの言葉が、先程の連携、自分の二刀流とリュウキの剣と拳を使ったスキルの連携をさしているという事は明らかだった。正直な所、別に話しても良い事なのだが、技の仕組みを一から説明するのは大変に面倒なのだ。 だが、今回は説明役として、申し分ない男がいるから、多少なり余裕を見せていたキリトだったが。

「―――……♪」

 リュウキは 何やら、すまし顔+妙に小綺麗な音を奏でる口笛と共に、後ろへとフェードアウトしていく姿があった。

「ちょっ……!?」

 まさかの戦線離脱に、キリトは多少なりとも抗議の声を出そうとしたのだが。

「二刀流なんて、スキル この世界にゃ、ねーんだぞ! いったい何なんだよ! 見たことねーぞ!?」

 クラインの追撃が止まなかった。明らかに逃げの一手を踏んでいる彼……、リュウキがいるのに 完全に矛先は自分のほうに向いているのだ。


――あれ? オレ達2人で、あのシステム外スキル(わざ)、したよね???


 とキリトが先程の事を改めて訊きそうになるのを懸命に抑えていた。

「い、いやいや、リュウキ! なんで逃げるんだよっ!! ってか、クラインもなんでリュウキをスルーするんだ!」

 あからさまに逃げていくリュウキを見て、そして 逃げていっているリュウキも目に入っている筈なのに、自分に来るクラインを見て抗議をす
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