第14話「ようこそ」
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険だぞ。」
「す、すいません。気になった事があったので...。」
「気になった事?」
よく見ると、美紀の持ってる本は....。
「“多重人格の実態と仮説”....?」
「っ....それって由紀ちゃんの...。」
「はい。先輩たちの話を聞いて、気になって...。」
なるほど。それでここに来たのか。
先生も、以前に気になって調べていたとか言ってたしな。
「...まぁ、今は帰ろう。目的の本は手に入っただろう?」
「はい。すいません。起こしてしまって。」
「いいっていいって。」
さて、戻ろうか。
これ以降は特になにかある訳でもなく、一夜を明かす事となった。
「..........。」
「........。」
「.........。」
翌日。生徒会室は沈黙に包まれ、本のページを捲る音しかしなかった。
悠里は菜園に、先生と由紀は授業に行っているので今は俺と胡桃と美紀しかいない。
そして美紀は昨日持ってきた本の一冊を黙々と読んでおり、俺たちも喋る事がないため、こうして全員が沈黙しているのだ。
「......あの。」
「うん?」
俺や胡桃よりも、沈黙の空間を作りだしていると思ったのか、我慢できずに美紀が俺たちに何かを聞こうとしてくる。
「私、何をすればいいんですか?」
「何を....ってのは、ここで暮らすに当たっての事か?」
「はい。」
何を...なぁ。特にする事はないしな。
「今の所は特にする事はないな。強いて言うなら、ここでの生活に慣れてくれって所か。」
「そう、ですか...。」
そう言ってまた読書に戻る美紀。
「あぁ、もし暇なら他の人について行って手伝いとかするだけでもいいな。...由紀の場合は授業をしてるつもりだからちょっと難しいが。」
「なるほど...参考にしておきます。」
また沈黙が訪れる。...さて。
「じゃ、俺はいつものやってくる。」
「え?私にこの沈黙の中残ってろと!?」
「ああ。」
満弁な笑みで返してみる。
「そ、そうだ!美紀!お前、遼について行けよ!どういう事をしてるか知れるし、ついでに自分のやるべきことも見つかるかもしれないぞ!?」
お、沈黙空間にしたくないから美紀を俺に押し付けて来たか。
「え...?でも...。」
「俺は別に構わないぞ?」
元々、会話のネタがないから沈黙が生まれたんだしな。
これを機会に会話のネタを見つけてくれると助かる。
「....なら、ついて行きます。」
「よし、じゃあ、行くぞ。」
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