第14話「ようこそ」
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のだ。所謂、今のこの現実を受け入れきれずに拒絶し、逃避したという感じだ。」
「...そんなの、いつまでも野放しにしてたら...!」
「飽くまで、心は壊れた“ような”だけだ。実際に壊れていない分、無理に現実を直視させると....今度こそ、心が壊れ、あいつは生きる意志を喪うだろうな。」
「っ.....。」
ハッとしたような顔をする直樹だが、まだ納得はしていないようだ。
「...でも、あの子のおかげで私達は元気でいられる。あの子が元気に振る舞ってくれているから、私達も、めぐねえも平気でいられる。」
「だから、私達はここを守って、由紀は由紀で自由にさせてるんだ。」
悠里と胡桃がそう言う。...俺も、由紀がいなければどこか平常ではなくなっていただろう。
「....そんなの、ただの共依存じゃないですか。」
「っ....あなたね...!」
「落ち着け。」
直樹の一言で悠里と直樹が険悪な雰囲気になる。
それを俺が一言で止めておく。
「状況が状況だ。精神状態は正常に保つため、仕方ないと思ってくれ。」
「...その精神状態が、由紀...先輩は正常じゃないんですけど....。」
直樹は俺にそう言ってくる。
どうでもいいが、今由紀の事を先輩を付けずに別の呼び方をしようとしなかったか?
「...そうだな。悪く言えば、由紀を犠牲にする事で俺たちは平静を保っている。」
「っ.....。」
「現実、誰も犠牲にならない選択なんて滅多に存在しない。ましてや、パンデミックが起きたこの状況では...な。それに、さっきも言った通り、由紀はしばらくは元に戻らない方がいい。」
「.......。」
....理解はしたが、納得はしてないって顔だな。
「これでも、一度生存した者が一人も欠けていないのは相当運がいいんだ。...直樹、お前の所も、一度生存しても壊滅たんだろう?」
「っ....はい...。」
「どの道、由紀の性格や心からして、今はこのままの方が断然いい。...由紀自身から元に戻る場合は何とも言えんがな。」
現実逃避も一種の防衛本能だ。俺らから何かするべきではない。
「....すいません、軽率でした。」
「まぁ、普通はそう思っても無理はない。」
分かってくれるだけ理解があると俺は思うな。
「....次の話に行こう。次はさっきも気にしていたマニュアルの事だな。」
「正直、私達もほとんど分からないわ。」
前提として悠里がそう言っておく。
「このマニュアルは恐らく職員室に一冊。教頭先生と校長先生は個人で持っていたのだろう。...と言っても、手元にあるのは職員室のと教頭先生のだけだが。」
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