4部分:第四章
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第四章
「絶対にね」
「絶対にか」
「彼は犯人じゃない」
そして結論も出したのだった。
「これだけは言えるよ」
「しかしホームズ」
ワトソンは断言する彼に対してさらに言ってきた。
「それでは事件の解決にはならないだろう」
「事件のかい?」
「そうさ。確かに太子は犯人じゃない」
ワトソンもそれはわかったのだった。
「しかしだ。それで犯人がいなくなったわけじゃないだろう」
「その通りさ。犯人は他にいるよ」
ホームズは自信に満ちた声で返してみせたのだった。
「他にもね」
「他にもっていうと」
ワトソンは彼の言葉にまた考える顔になった。しか答えはもうわかった。既にホームズが散りばめてあったそのヒントによってである。
「まさか」
「そう、そのまさかだよ」
まさにそれだと。答えるホームズだった。
「犯人は彼等だよ」
「女王とその夫である公爵か」
「そうだよ。あの二人だよ」
ホームズが推理した犯人は二人だった。その彼等であるというのだ。
「あの二人が犯人だね」
「つまりあれか」
ワトソンはここでも彼が以前に出していた答えを引き出して述べたのだった。
「王家にまだ介入する恐れがありそしてアラブと縁を持つからこそ」
「そう、それを事前に消したんだ」
それだというのである。
「事前にね」
「成程ね。何か宮廷の話みたいだな」
「みたいじゃない、それそのものだよ」
「そのものか」
「そう、そのものだよ」
話をしていくのだった。彼は。
「この話はね」
「宮廷の陰謀劇か」
ワトソンはホームズの言葉を聞いて腕を組んだ。そうして考える顔になったうえで言葉を出したのである。
「時代錯誤の様な気もするが」
「時代錯誤でも何でもないさ」
しかしホームズはそれは否定したのだった。
「何せ宮廷そのものだからね」
「そうか。王家だからか」
「そういうことだよ。わかってくれたね」
「まあね。そして宮廷劇ならば」
「犯人は表には出ないよ」
ホームズはここでも言い切った。相変わらずパイプを吹かしながらリラックスしたままである。そのうえでワトソンに話していくのだった。
「絶対にね」
「絶対にかい」
「はっきりさせてはいけないだけにね」
「やれやれ。嫌な話だね」
ワトソンが溜息と共に言葉を出すとであった。
ホームズはここでも。彼に対して告げたのである。
「よくある話だよ」
「よくある話かい」
「そうさ。僕達が扱う事件みたいに全て解決されて公にされて終わる事件だけじゃない」
パイプを置く。そしてソファーから起き上がるのだった。
それから今度は棚の方に向かってだ。そこからブランデーを出してそれをワトソンにも勧めてきた。
「どうだい?君も」
「いいね。今日
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