6部分:第六章
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第六章
その余韻に浸りながら西ベルリンを歩く。すると今度は。
売店にだ。信じられないものを見たのだった。
「ガムだと?」
「んっ、あんたガム欲しいのかい?」
「こんなものが普通に売っているのか」
「ああ、新製品だよ」
売店の親父は何でもないといった調子で彼に返す。
「苺味だよ」
「苺味のガムか」
「ああ、そうさ。いるかい?」
「買いたい。では幾らだ」
「はい、これだけ」
親父が指し示した書かれている値段を見てだ。シュナイダーは飛び上がらんばかりに驚いた。東側ではガムもなかったのである。
「これだけだよ」
「安いな」
「高いガムなんてあるのかい?」
「ないのか?」
「ガムだよ」
親父は素っ気無く述べてきた。
「ガムが高いのかい?」
「安いのか」
「そうだよ、安いよ」
また述べる親父だった。
「子供が普通に小遣いで買うものだから」
「子供が普通にか」
「そうだよ。それで買うのかい?どうするんだい?」
「買う」
すぐに答えた彼だった。
「買わせてもらう。是非な」
「あいよ。それじゃあね」
「うむ」
こうしてガムを買って早速紙を破り赤紫のそれを口の中に入れる。するとだ。
「甘い・・・・・・」
ガムの柔らかいくちゃくちゃした感覚と口全体に広がる甘さには病みつきになった。それは彼が今まで味わったことのないものだった。
その甘さに病みつきになってだ。それから毎日ガムを噛む。そしてだ。
その他にも西ベルリン中のありとあらゆるレストランに入った。そうして食べ続けてだった。
「ドイツ料理だけでないのか」
このことにも驚く彼だった。
「フランス料理もある、イタリア料理もスペイン料理もだ」
こうした欧州の料理が一通り揃っていたのだ。
「ハンバーガーもあれば中華料理も。それに」
そしてだ。彼が今入っている店はだ。
独特の木造建築にそれに彼もその名前と存在は知っているが全く読めない文字があちこちにある店であった。そしてそこで彫の浅い黒い髪の店員と話していた。
「はい、それでは」
「この刺身か」
「それですね」
「これは何なのだ」
その店員に真顔で尋ねる。店員は変わった形のエプロンにボタンがなく袖の広い服を着ている。その店員に対して尋ねているのだった。
「刺身というのは」
「生のお魚です」
「生のだと」
「はい、御存知でしたか」
「そういえば日本では」
ここで彼は東ドイツで習った日本の文化や風習を思い出した。
「生の魚を独自のソースで食べるそうだな」
「お醤油のことですね」
「醤油?」
「はい、そのソースはそれですね」
こう話すのだった。
「よく言われているのでわかります」
「醤油か」
「大豆で作る醤油ですね」
「何っ、豆
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