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Once upon a dream〜はじまらないはじまりのものがたり〜
10月8日(水)
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がわからずただ見ていると、ぴこん、という音と共に、「飛び出して助ける」の横に小さな三角が出た。
すると、ぐるりと視界が回った。キキーーーーッ!という激しいトラックのブレーキ音と共に、「???『危ない!』」と文字が出る。
わたしの視界は黒一辺倒に塗りつぶされている。死んだ…のかな、と思っていたら、がさ、という衣擦れの音と共に、視界は元に戻り、人でも殺してきた後なのかと思うぐらい怒気を立ち上らせている顔がドアップで出てきた。わたしは驚いた。あれ、この人、見覚えが…。
『何をやっている!死にたいのか』
「由路翔:『何をやっている!死にたいのか』」と出たのを見て、あっと思った。ユロショウ。そうだ、今日、教室ですれ違った人だ。友美がそんな呪文のような名前を言っていた気がする。さらさらの黒髪に眦のつり上がった瞳。「イケメン」好きの友美が目の保養と言っていたから、この人は「イケメン」なんだろう。わたしはこのひとがイケメンだろうがイケメンじゃ無かろうが特に興味ないけれど。
『たかが猫一匹に命をかけるなど、頭がおかしい』
けれどこの言い草にはカチンときた。普段、わたしは友美や一般的な女の子に比べると感情が表に出ない方だと思うけれど、これはない。命は、たかが、って言ってしまって良いものじゃ無い。ちょうど良いことに、「由路翔:『たかが猫一匹に命をかけるなど、頭がおかしい』」と出た下に、「すみません…」と、「命をたかがって言ってしまえるあなたの方が頭おかしい」の二つが並んで出た。後者!…後者!と念じていたにも関わらず、無情にも、ぴこん、と音がして「すみません…」の後ろに小さな三角マークがついた。
すると、きゃらりらら〜んと妙な音がして、由路翔の顔の横に大きなハートが出てきた。え、何これ。比喩的な意味で無く人を食ってきたような由路翔の悪人顔と、真っ赤なハートの組み合わせと言うのが、笑えるぐらいシュールだった。
『…あ、いや、俺も強く、言い過ぎた…』
視線を彷徨わせ、少しだけ後悔するようなふりをする由路翔。でもわたしの心は全然揺れない。何度も言うようだが、たかが猫一匹、みたいな他者を貶めることを言う人間がわたしは嫌いだ。卑下される対象がわたしならばなんの感慨もわかないが、プライドとか見栄とかそういう下らないもののために、自分よりか弱いものをあえて
貶
(
けな
)
す、というところが全く以て気に食わない。わたしは普段しつこく絡んでくる久遠寺揚羽ですら嫌いでは無い。別にそれは優しいとかプラスの感情からでは無くて、わたしは我ながら冷めているところがあって、人に嫌いという感情を持つほど関わろうとしないからだ。でも由路翔は満点で嫌い認定。わたしの人生初の嫌い。拍手を送
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