暁 〜小説投稿サイト〜
Once upon a dream〜はじまらないはじまりのものがたり〜
10月8日(水)
[2/6]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
でも足りないと思うけど…あいつに何されたか忘れたわけじゃないだろ?」



 何されたか…机の中にヘビが入っていたことだろうか。でもわたしは生き物の中でヘビが一番大好きだから、真っ白なあの子は丁重にお持ち帰りさせて貰って今や家族の一員だ。かわいいし買う手間もお金もいらなかったし大大大満足だ。それとも教科書の偉人の顔にちょびヒゲや「イモ娘。」などの吹き出し付きの落書きがあった件だろうか?でも一切勉学に支障は無かったし…。



 考え始めたら枚挙(まいきょ)(いとま)が無いが、でもどれもこれも嫌がらせとしてはどこか抜けている、と言うか…子供のお遊びだと思えば全く気にならない。



「まぁ、あいつはバカだけどさぁ」



「それより友美、友美の好きな携帯小説更新されてた?」



「海月ッ!それが!今回急展開でッ!」



 話を変えたら一瞬で久遠寺揚羽のことなど頭から吹き飛んだらしい友美の小説トークを聞きながら、わたしたちは教室へ戻る。



「ところでその小説ってどんな話だっけ?」



「ええっ!ひどっ!前話したじゃん!」



「ごめんね」



「むーいいよ。海月だから特別。許す。『銀とき』はね、設定はよくあるものなのよ。中世ヨーロッパに似た異世界で何不自由なく暮らしていた主人公が、ふとある日夢を見て気づくの。この世界は、自分が前世である『日本』で生きていた頃にやったゲームの中の世界だって」



「ま、待って、待って友美」



「なに?」



「その設定、すごくない?なんか色々こんがらがってない?」



「え?海月は小説見ないからなァ…今の携帯小説もライトノベルも、こんぐらい普通よ。むしろこっから自分が転生したのが主人公じゃ無くて悪役令嬢とか、殺される役とか、そういう属性がいろいろついてくんだから」



「う…そうなの?でもわたし小説は読むよ」



「あれ、読んでたっけ?ちなみにラインナップは?」



「夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介、あとは…」



「どぉぁあーストップストップ!なんじゃその夏休みの読書感想文の宿題みたいな面々は!カビ生えきったオッサンばっかじゃ無いの!あんた若いんだから、そんなズーンと暗い話ばっか読んでないで、もっとキラキラ花びら舞い散るライトノベルを読むべきよ!時代はライト、ライトなのよ!」



「…近代文学、面白いよ」



「そりゃあ、面白くなきゃ読んでないでしょうとも。でも、読むんなら恋愛小説!ここは譲れません。そんで一緒に恋バナで盛りあがろ。あーあ!私にも王子様現れないかな−!」



 友美はすねたふりをしながら教室のドアをやや乱暴に
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ