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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十五話 予感
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え切れずに爆笑した。 

「リューネブルク准将、地上戦の準備は出来ていますか?」
「……出来ていますが……地上戦になりますか?」
「……判りません。しかしその時はリューネブルク准将に頼る事になります」 
「任せていただきましょう」
俺は軽く頷いた。準備が出来ているならいい。地上制圧に時間は掛けたくない。

■ジークフリード・キルヒアイス
 
 将官会議が終わったようだ。会議室から人が出てくる。私はラインハルト様を探しながらも、いつかこの会議にラインハルト様と共に出たいものだと思った。ふと場違いな笑い声が聞こえる。眼を向けるとそこにはヴァレンシュタイン大佐とリューネブルク准将の姿があった。妙な組み合わせだ、二人は親しいのだろうか。長身の准将と小柄な大佐を見ると保護者と被保護者のようだ。そんな事を考えてしまった。

 ヴァレンシュタイン大佐。第五次イゼルローン要塞攻防戦、サイオキシン麻薬密売摘発、アルレスハイム星域の会戦、そして今回の勝利。ミュッケンベルガー元帥の信頼厚い帝国の若き用兵家。今回、グリンメルスハウゼン艦隊の参謀長になったのもミュッケンベルガー元帥の意向があったという。私は昨日行われた会戦の事を思い出した。

 会戦前、旗艦で行われた作戦会議でラインハルト様は砲艦による攻撃を提案された。誰が見ても優れた作戦案で採用されるだろうと思っていたがそうはならなかった。ラインハルト様の失望は大きかった。グリンメルスハウゼンに対する不満を、艦隊司令部に対する不満を私にぶつけた。

「ヴァレンシュタインもミュラーもたいした事は無い。評判倒れだ」
「ラインハルト様の作戦案をわざと採用しないという可能性はありませんか?」
「俺に対する反感からか」
「はい」

ありえないことではなかった。ヴァレンシュタイン大佐も若いがラインハルト様はもっと若いのだ。軍内部での知名度も大佐の方が高いだろう。しかし階級はラインハルト様の方が上だ。反感があってもおかしくない。
「その程度の奴がミュッケンベルガーの腹心というならミュッケンベルガーもたいしたことは無いな」
ラインハルト様は吐き捨てるように言って作戦案をデスクに叩きつけた。

 会戦は私たちの予想を裏切る形で始まり、予想を超える形で終結した。当初私たちは会戦に全く参加できなかった。ミュッケンベルガー元帥はグリンメルスハウゼン艦隊を全く無視した形で戦いを始めたのだ。ラインハルト様はそれにも怒った。これ以上の侮辱が有るかと。しかしその怒りは二時間後には屈辱に変わっていた。高速移動による側面攻撃、後背への展開、そして敵艦隊を機雷原に追い込んでの殲滅。

「キルヒアイス、俺はどうやら度し難い低能らしい。全く使えぬ作戦案を出し採用されぬと不満を言っていたのだからな」
「ラインハルト様」
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