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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十五話 予感
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いる宇宙艦隊のものでグリンメルスハウゼン艦隊は無傷で勝利を得た。一人勝ちの状態だ、誰も納得できないだろう。俺たちは場所をわきまえない不届き者なのだ。おまけに勝ってしまったから文句も言えない。ミュッケンベルガーが不機嫌なのも、皆が白けるのも判る。俺達も無表情に沈黙している。

 俺自身はあれは最善を尽くしたと考えている。あのまま進めば訳のわからん混戦になった事は原作で明らかだ。スパッと打ち切ってやったのだから感謝されてもいい。しかし、それは原作知識があるから言える事でそうでなければ納得できないだけだろう。俺としては叱責されないだけましだと思っている。しかし、判らない人間もいる。我等が敬愛すべきグリンメルスハウゼン提督だ。

「司令長官閣下。おめでとうございます。皇帝陛下もさぞかしお喜びでしょう」
頼む、お願いだから何も言わずに黙っていてくれ。
「うむ、提督のおかげで勝つ事が出来た。見事な武勲であった」
顔を引き攣らせて言うなよ、元帥閣下。

「参謀長のおかげです。元帥閣下の信頼が厚いのもよくわかりました」
止めろ。頼むから止めろ。
「そうか……それは、良かった」
いっそ余計な事はするなと怒鳴ってくれ。その方が楽だ。

 将官会議では同盟軍が未だ撤退はしていない事、その撃滅を図る事が改めて確認された。グリンメルスハウゼン艦隊はヴァンフリート4=2で予備兵力として待機する事が命じられた。ミュッケンベルガーはやはり宇宙艦隊の実力を試したいと思っているようだ、いや、武勲を立てさせたいと考えているのだろう。

グリンメルスハウゼンは愚図っていたが、ミュッケンベルガーから若い者に武勲を立てる場を譲ってやれと言われて納得したようだ。ミュッケンベルガーのコメカミが引き攣って見えたのは気のせいだろう。ここまで勝つ事が喜ばれない軍隊というのも珍しいんじゃないだろうか。負ける事を期待されないだけましか。気休めにもならん。気持ちを切り替えよう。ヴァンフリート4=2だ、リューネブルク、ラインハルトをどう使うかが問題だな。

 将官会議が終了すると俺はあえてリューネブルクの近くを歩いた。案の定、リューネブルクはすぐ食いついてきた。
「参謀長、元帥閣下はあまり面白くないようでしたな」

「仕方がありませんよ准将、我々は余計な事をしたのですから」
「参謀長は元帥閣下のお気に入りと聞いていましたが?」
「現実はこんなものです」

「なるほど……百聞は一見にしかず、ですか。それにしても落ち着いておられる。俺は気もそぞろでしたが」
「一番落ち着いておられたのはグリンメルスハウゼン閣下でしょう」
リューネブルクは失笑した。俺もつい笑ってしまった。 

「参謀長は意外に辛口ですな」
「小官は甘口ですよ、辛いものは苦手で」
リューネブルクは耐
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