Side Story
無限不調和なカンタータ 5
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うのがあってねー。死者がどんな性格をしてたーとか、好き嫌いはどうだったーとか、時間を掛けて話す場が設けられるんだー。それってねー。死者の眠りが穏やかなものでありますようにって祈りと、死者の遺志……生きていた証を受け継ぐって意味があるんだよー。同じ世界で生きていた事実を忘れない為に、死者の生前の容を皆で確かめ合うんだー。だからねー? 君の中の親友さんに会わせてー。僕達が喪ってしまった存在の大きさに気付かせて欲しいんだー。それができるのは君だけだからー」
……へぇ? 葬式ってそんな理由で始めてたの? たまに見掛けても、大体は死んだ人間と関係無い、ただの雑談にしか聴こえなかったわ。
「そんな事に何の意味がある!? 死ねば終わり。あの子はもう、何処にも存在しない。残っているものなど何も無い!」
よく解ってるじゃない。
そうよ。死んだら終わり。
魂が消滅したら、その先には何も無いの。
だから、アンタの復讐はただの気晴らし。
オトモダチの命の対価を盾に、自分の鬱憤を晴らしたいだけの無様な破壊衝動。
こっちはそんなモンで通りすがりのカールを殺されちゃ堪んないっつってんの。
悪魔でもないクセに、自己中も大概にしときなさいよ? 「自称」友愛の女神!
「親友さんが残したものなら、ちゃんと此処にあるよー」
「煩い! 黙れ人間ッ!」
狂風を纏う翼を大きく広げた女神が、一息の間に木の頂よりも高く翔ぶ。
音が使えないから実体での武力行使? させるか!
「お前も滅びろ、創世曲の指揮者ぁ!」
カールをめがけて突進する体。
私も、二人の間に割り込む位置へ跳躍して……
「君は、親友さんのものでしょう?」
「ッ!?」
「僕は神でも悪魔でもないから、的外れな考えかも知れないけど。親友さんには望みがあって、君を相手にしてもきっと死にたくはなかった筈。凄い力を持った人同士が生死の境で対峙してたら、双方無事では済まないよね? でも、君は今まで此処で生き続けてた。それって、親友さんには君を殺したり傷付けたりするつもりが無かった証明になるんじゃない?」
静止した女神と私の影が空中で重なる。
見開いた雪色の潤んだ瞳が、私の肩越しに にっこりと笑うカールをくっきり映した。
「なら、生かされた君の命は親友さんのものだよ。願いを受け継げるのは君しかいないのに、肝心の君がそんなふうに泣いて苦しんで塞ぎ込んで……大切な人を更に悲しませてどうするの? それとも、それが親友さんの望みだった?」
「違う!! あの子は誰も……誰の苦痛も、望んでなど……ッ!」
至近距離で叫ばないでよ鬱陶しい!
取っ捕まえたこの右腕、打っ千切るわよ!?
「だが、私が殺したんだ! 純粋無垢なあの子を、私が! 強引に奪い取ったものを、どうして笑顔で
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