プロローグ
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定めた少年は、一直線に加速していく。
天使も両方の羽からレーザーを放っていくが、虚しくもそれが直撃するのはツバサの背後にある残像にだ。
天使が逃げようとする努力の甲斐はなく、少年の大剣を背中のブースターにくらったことで大勢を崩した。
その隙を逃さず、大剣を振り抜いた大勢からすかさず斬りあげ、その両腕を切り飛ばした。
「散れ」
容赦の欠片もない少年の宣告が響くと同時に、両腕を失った天使が縦に斬り裂かれた。原型をほとんど止めなくなったそれは、バチバチとスパークを起こし、爆散する。どうやら、そういう風に初めから作られていたようだ。
少年は忌々しげに舌打ちをし、大剣を背中のウエポンラックに収納した。
目的を果たした少女には、もうここにいる理由もない。ゆえに、騒ぎを聞きつけた一般人に見つかる前に撤退したい。
ツバサを広げ、再び飛び立とうとしたその時だ。背後で小さな人影が動く気配がした。
「ま……待って……」
少年は掠れた少女の声を聞き立ち止まった。今にも倒れそうな少女を見て、駆け寄って支えてあげたいが、少年にはそんな権利はない。
「気をつけてね」
少年はそれだけを言って、空へと再び飛び立った。その背中はどうしようもなく儚げで、孤独だった。
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「だれなの……君は……」
少女は泣き腫らした瞳で空へと飛び立ったツバサを見つめていた。それしか出来なかった。力も何も持たない少女には、それ以外のことをする力など無かった。
そんな少女に近づく、怪しげな人影が現れた。
「一足遅かったか…災難な目にあったな少女よ。命があって何よりだったな」
それは、フードで顔をすっぽりと覆った女性だった。なぜ女性だとわかったのかというと、その声は高いソプラノのものだったからだ。
「お父様も…お母様も…死んじゃった…」
「ああ。そうだな。どうやらこのガラクタ共は君のことも殺そうとしていたようだ」
女性がカチャリと懐から小型の銃を少女に突きつけた。その目には憐れみの感情が込められてはいるが、どこか何も出来なかった少女のことを蔑むかのような光が込められていた。
「さて、では少女よ。私も君を殺すことが仕事でね。選べ、私に殺されるか。自分で死ぬか」
冷たい声は少女の頭に入ってはいる。だが、正しく理解することができる知能が働いていない。
「…………」
「……やめだ」
女性は拳銃をホルスターにしまい、その代わりに少女に黄色の髪飾りを投げ渡した。
「そんな死人みたいな詰まらん顔をするな。殺してやる気がなくなる」
「これは…なに…?」
投げ渡された髪飾りを見て、惚けたような顔のまま少女は呟く。
「なに。単なる御守りのような物さ。君を殺す価値
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