第六話
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あの一対三百と言う絶望的な状況から、突破するためのあの突撃と言ったらもう!
そこからのゲリラ戦なんてもうドキドキハラハラで──」
迂闊だった。
本人の「私結構いける口なんです!」という言葉を信頼した自分が馬鹿だった。
来る酒を次々と飲み干し、気がついたらこの様だ。
「聞いてますぅっ!?」
「あー、はいはい。聞いてますよー」
しかし延々と自分のことを話されるのも中々にこそばゆい。
どうにかならないだろうか。
「それにですねぇ!あの砂漠での──」
「──真っ赤なトマトになっちまったんだよ!」
「囲まれたときの──」
「──情けねぇったらねぇぜ!」
「あの──」
「──どっちの雄に尻尾を振って、どっちの雄に滅茶苦茶にされてぇんだ?」
鈴のようなイシュタムの声が、野蛮な怒声に掻き消される。
丁度自分たちが座っている席の右前方の集団。その中の犬耳が生えた男が発信地。
その集団の中には先日迷宮内で出会ったあの美少女も居た。
酔いが回っているのか、誰かへの罵倒と下ネタが混じったそれは今や店内中に響き渡り、場の雰囲気を悪くしている。
「むぅー・・・・・・下品な男ですねぇ」
「私のマサさん談義が伝わらないじゃないですか!」
怒るとこはそこか、我が神よ。
「・・・・・・そうだ!」
「マサさん!ちょっとあいつ黙らせてきてくださいよ!」
「・・・・・・は?」
何を言ってるんだ我が神よ。
「いやいやいやいや、落ち着けよ嬢ちゃん。
確かにうるせぇけどよ、ほら、見ろよあいつめっちゃ強そう」
「マサさんの方が強いに決まってます!」
「いやいや、他の奴らも黙ってるし。こういうのは放っとくもんなんだって。
話なら後でゆっくり聞くからよ」
「いーやーでーすー!今話したいんです!」
飲ませたことを激しく後悔。
こうなるんだったら途中で止めとくんだった。
「ほらほら、早く早く!命令ですぞ!」
落ち着いてくれ我が神よ。口調が崩れてるぞ。
・・・・・・まぁしかし。流石に酒が不味くなってきたところだ。
イシュタムの勢いも収まりそうにないし、行くとしよう。
「雑魚じゃあ釣りあわねぇんだ!アイズ・ヴァレンシュタインにはなぁ!」
丁度犬耳男に接近したとき、どっかで見たような少年と先ほどの銀髪店員が駆けて行く。
まぁそんなことはどうでもいい。
「あー・・・・・・ちょいと失礼」
「あ゛あ゛?」
「何だよ、オッサン?」
ぎらつく目がこっちを向いた。かなり酒臭い。
どうやら注目は集まっていたようで、多数の視線を感じる。
「そのー、そう大声で罵倒や下ネタやらを言われるとだな。
酒が不味くなるというか、周
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