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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 ヴァンフリート星域の会戦
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「はっ。全艦隊に命令。最大戦速で時計回りに前進、敵右翼の側面を攻撃しつつ後背へ展開せよ」
戦線が動き始めた。

 グリンメルスハウゼン艦隊は動き出した。こちらの動きに敵の第六艦隊は驚いたようだ。全く戦意が無いと無視していた艦隊がいきなり高速機動を開始したのだ、無理も無い。上手く対応が取れず次々と側面に火球が炸裂する。敵の反撃は散発的でこちらにはなんの影響も無い。グリンメルスハウゼン艦隊は高速を維持しつつ第六艦隊の後背に展開する事に成功した。

「敵、前進します!。我が軍が元々いた場所に向かっています」
「閣下、現状を維持しつつ、敵を攻撃するのがよろしいかと思います。それとワルキューレを発進させましょう」
「うむ、参謀長に任せる」
「はっ。全艦隊に命令、現状を維持しつつ前進する敵の後背を攻撃せよ。ワルキューレの発進を許可する」

 第六艦隊はこちらの攻撃を後背から受けつつも前進している。一方的な攻撃に火球が次々と炸裂する。圧倒的に有利になったグリンメルスハウゼン艦隊は勢いに乗って撃ちまくっている。帝国軍の中央部隊も第六艦隊に対して攻撃を集中しだした。
 第六艦隊は前後から攻撃を受け火達磨の状態にあるがそれでも前進を止めない。ムーア中将の考えはわかる。あちらも同じように側面攻撃から後背へ展開しようというのだろう。しかし、その前に潰す。

 問題は第五、第十二艦隊だ、この状態でどう出る? 前進か、それともこちらに向かってくるか? 俺が敵の立場なら先ずグリンメルスハウゼン艦隊を叩き潰す。もちろん前面の帝国軍を放置するのは危険だ。

しかしグリンメルスハウゼン艦隊は寄せ集めなのだ。錬度は低い。第五、第十二艦隊の実力なら難しいことではない。第六艦隊への援護にもなる。それから第六艦隊の後を追う、つまり時計と逆方向に進軍して帝国軍を半包囲に追い込む……。
 第五、第十二艦隊は動かなかった。こちらの実力を過大評価したのか、それとも半包囲ではなく挟撃を選んだのか。あるいは第六艦隊の失敗を見越したのか……。

「敵艦隊、前進を止めました」
「攻撃を一層集中せよ」
第六艦隊の先頭部隊で爆発が起こっている。どうやら機雷群に突っ込んだらしい。ムーア中将が側面攻撃から後背への展開を狙う事は判っていた。俺たちは高速機動に入る前に密かに機雷群を作成していたのだ。開戦後の二時間はそれに使ったと言っていい。第六艦隊は機雷群に突っ込み停止している。止まった状態では狙い撃ちだ。グリンメルスハウゼン艦隊の、帝国軍中央部隊の、ワルキューレの攻撃を受け次々に爆発していく。このままでは全滅だろう。

「降伏勧告をだせ」
俺はグリンメルスハウゼン提督の許可を取り、第六艦隊に降伏勧告を出した。意外な事にあっさりと受諾した。
第五、第十二艦隊が動き出した。第六艦隊の
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