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真田十勇士
巻ノ二十八 屋敷その四

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「旅の時でも早寝であったな」
「はい、夜の早くから寝ていましたな」
「そして日の出と共に起きておられました」
「日々そうする様にしておる」
 早寝早起きに務めているというのだ。
「規則正しい暮らしを心掛けておる、それに」
「それに?」
「それにといいますと」
「酒は飲むが己の適量はわかっておるつもりだ」
 だからだというのだ。
「それを越しては飲まぬ様にしておるし食うものもな」
「そういえば殿はいつも粗食ですな」
「玄米が常ですし」
「野菜等で」
「禅僧の飯に近い時もありますな」
「酒は過ぎず、そして贅沢はせぬ様にしておる」
 そうしたことにも気をつけているというのだ。
「しかとな」
「左様ですが」
「お忙しいですが」
「それでもですな」
「身を慎んでおられる」
「そうされていますか」
「深酒と贅沢はせぬことじゃ」
 そうしたことは避けるべきというのだ。
「拙者も美味いものを食いたいがな」
「つまり質素な美味いものですか」
「それを食うべきですか」
「そうしておる、そして食うものは五行じゃ」
「五行ですか」
「うむ、火金水木土のな」
 こういったものもだ、幸村は挙げていった。
「それぞれが色で出ているものをどれも調和を取って食う様にしておる」
「赤にですな」
 猿飛が言って来た。
「そして青と」
「うむ、黄と黒に白にとな」
「五色をですな」
 穴山も言って来た。
「その色の食いものを常にまとまりよく食う」
「その様に心掛けておる」
「それはいいことです」
 筧はそれをよしとした。
「食うものは五色のものを常に食うとです」
「身体によいからな」
「そうです、食も偏るとよくありませぬ」 
 伊佐もこう主に言う。
「ですから」
「そうじゃな、だから拙者も心掛けておるのじゃ」
 どの色のものもそれぞれ調和よく食べる様にというのだ。
「出来る限り常にな」
「質素であっても」
 海野も言う。
「そうしていますな」
「左様じゃ」
「わかりました、ではこれからもですな」
 由利が主に問うた。
「そうして食っていかれますな」
「無論じゃ」 
 幸村は由利のその問いに微笑んで答えた。
「そして身体を保っていく」
「では我等も」
 望月は幸村に申し出る様に言った。
「殿と共に」
「質素でありながら己を保つ食をするか」
「それが一番戦えるのなら」
 根津の言葉は強いものだった。
「是非共」
「では殿」
 霧隠が幸村に言うことはというと。
「野菜も肉も魚も」
「常にそうしていくぞ」
「では鍋等いいですな」
 清海は明るい声で言った。
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