暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
107話:終わりから始まりへ
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 大破した六課。上空からはヘリがその光景を中継している。
 周囲にガジェットの残骸が転がる中、それらを検分する本部の調査員達。

 そんな彼らの中に、ティアナは一人検分に参加していた。彼女は六課前衛(フォワード)の中で唯一、大きな怪我もなく前日の襲撃を終えた。
 自身が無事だったとはいえ、他もそうとは限らない。襲撃によって動員されている調査員が足りないということで、彼女も検分に参加することになったのだ。

 はぁ、と深いため息がこぼれる。当然だ、公開意見陳述会の為に一日程離れただけで、自らの部隊が見るも無残なものとなっていたのだから。


「酷いことになってしまったな…」
「シグナム副隊長」


 そんな彼女へ声をかけたのは、同じく特に酷い怪我―――というより戦闘のなかったシグナムだった。
 六課から視線を移したティアナは、シグナムに「病院の方は?」と問いかけた。シグナムはここに来る前、六課の負傷者が多く収容されている病院―――聖王医療院にいた。収容された六課メンバーの容体を見てきたのだ。


「重症だった隊員も、峠は越えたそうだ」
「そう、ですか…」
「―――だが、やはり…」


 そこまで言って、シグナムは暗い表情を浮かべる。いつも凛とし、騎士として悠然とした表情をしている彼女には、非常に珍しい表情だ。
 対しそれを不思議とも思わないティアナ。逆に彼女も同じような表情を浮かべた。わかっているからだ、彼女がそんな表情を浮かべる理由を。


「高町隊長は?」
「隊舎の中です。見たところいつも通りです、しっかりお仕事されてます。さらわれたヴィヴィオのこととか、負傷した隊員達のことを確認したら、後は少しも」
「……アイツのことも、か?」
「…はい」
「……そうか」


 高町隊長―――なのはも、ティアナと行動していたので、当然怪我はない。ティアナと同じように、検分に参加している。
 その様子は、ティアナの見た通り。受けた報告をしっかり受け止め、今自分のできることをやっている。そんな感じだ。

 少し不安そうに語るティアナを見て、シグナムは彼女が持つ端末(ファイル)を取り上げる。


「こちらは私が引き継ぐ、お前も病院に顔を出してくるといい」
「あ、ですが…!」
「―――行ってやれ」


 視線はデータに向けたままの一言だったが、ティアナは少し考えた後「はい」と言って駆け出した。
 襲撃が終わった後すぐになのはと共に検分に参加した彼女。やはり心配だったのだろう、負傷したフォワードチームや六課の仲間の事も…自らの相棒の事も。

 病院へ向かう間に、ティアナはなのはへ念話を送った。これは勿論、これから病院の方へ向かうという旨の報告の為だ。



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