Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 31. Instant Death・Immortal Life
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を逆撫でする。
さっきまで散々振るっていた刀を握り直し、思わず飛びかかろうとした、その時、
「……そうか……やっと分かったぜ。あの時、デュエルの時に感じた、違和感の正体」
「……キリト、君?」
麻痺に倒れたキリトが仰向けのまま首から上を起こし、こっちを、いやヒースクリフを睨みつけていた。戸惑うアスナには答えずに、静かな声音で言葉を続ける。
「決着がつく直前、その最後の一瞬だけ、アンタは余りにも速すぎた。それこそ、そこの一護の縮地並に。その時は、俺の実力不足だと思ってた。でも、今は違う。あれは、あのコマ送りしたかのような急加速は、明らかに既存のシステム下で許された動きじゃない。
環境アイテムやNPCにしか許されないはずのシステム的不死。ゲームの制約を超えた動き。そして、俺たちを一瞬で麻痺させた異常な事実。この三つが表すことはただ一つ。お前が俺たち『プレイヤー』側じゃない、『管理者』側の存在だということだ。
……そうだろ、ヒースクリフ。いや、茅場晶彦」
空気が、いやこの場の全てが、凍り付いたかのように静まり返った。
キリトが告げたことの重大さに、俺は思わず絶句する。
誰一人として次の句を出せずにいると、ヒースクリフはふむ、短く唸り、視線を俺とキリトの間で往復させ、
「――確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」
あっさりとキリトの言葉を認めてみせた。
「……趣味がいいとは言えないぜ。沢山のプレイヤーを護ってきたアンタが、一転して俺たちの生還を阻む最悪のラスボスになるなんてな」
「なかなかいいシナリオだろう? 盛り上がったと思うが。予定では九十五層地点までは秘密にしておくはずだったのだが、まさか四分の三地点で明かすことになるとはな」
目つきを鋭くするキリトに、ヒースクリフは、いや茅場は苦笑を交えつつ答えた。そのなんてことのない話し方が、返ってこの男の異常性を強調しているように感じる。
――だが、そんなことはどうでもよかった。
二年間、俺たちをこの世界に閉じ込め、何千人もの人を殺した。
その主犯が今、俺の目の前にいる。
あの日、リーナと「必ず殴る」と誓いあった奴が、目の前に立っている。
そのたった一つの事実が、俺の脳内を支配した。
「……この、クソ犯罪者がああアアアァッ!!」
回復したばかりの縮地を発動し、怒りに身を任せて俺は斬りかかった。
インチキシステムで返り討ちにあうとか、不死存在にダメージは絶対通らないとか、ンなことはどうでもいい。ただ、コイツをなに食わない面で突っ立ったままにしておくなんて、絶対にできねえ!
たとえ何が阻もうが、絶対
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