Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 31. Instant Death・Immortal Life
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れた。
射線ギリギリにいた数人は俺の声ですでに動き出してたらしく、なんとか回避することが出来ていた。地面にそのまま転がり、最後の最後に繰り出された凶悪な一撃に目を見張っていた。
だが、躱せなかった奴が、一人だけいた。
常に敵の正面に陣取り、キリトやアスナが攻撃側に回っても単身鎌を捌き続けていた男……ヒースクリフだ。驚愕の表情を浮かべた奴は咄嗟に盾を正面に構えた。だが、ボスの放った極大の似非『虚閃』はそれを真正面から打ち破った。
「だ、団長――!!」
アスナの絶叫が空気を裂くように響き渡る。
けど、ヒースクリフは回避行動を取れなかった。紅い閃光に身体を飲まれ、ギリギリグリーンにとどまっていたヒースクリフのHPが減少し、ついにイエローゾーンへと落ち込む――直前で停止した。
減るはずだったHP。イエローで表示されるはずのそれは依然グリーンのままで、代わりに、奴の頭上には小さなメッセージが表示されていた。
『Immortal Object』
不死存在。
環境アイテムとか、「絶対破壊できないもの」を攻撃したときにしか表示されないはずの、システムメッセージ。それが今、この男の頭上に淡々と輝いていた。
ボスの最後の一撃が終わり、そのまま骸骨百足は今度こそ砕け散った。正面にデカデカと『Congratulation!!』の文字が表示されるが、それに歓声を上げる奴は一人もいなかった。
「システム的、不死……? どういうこと、ですか、団長……?」
長時間の戦闘に息絶え絶えになっているアスナが、キリトに支えられつつそう問いかける。他の連中も疲労困憊しながら、驚愕と疑問の視線をヒースクリフに向けている。俺にもたれて整息しているリーナも同じだ。
その視線を受け止めながらも、ヒースクリフは無表情のままだった。代わりに左手を振って手元にシステムウィンドウを出し、手早く操作する。
「――ッ!? 一、護……!」
「リーナ!?」
不意にリーナが崩れ落ちた。倒れ込みそうな相方を咄嗟に支えたが、その身体にはまるで力が入ってない。そのまま倒れるリーナをどうにか抱えて、地面に横たわらせた。HPバーの上には黄色のアイコン。麻痺だ。
どよめきが聞こえ周囲を見ると、同じように皆が麻痺にかかって倒れていた。唯一、俺だけが麻痺にかかっていない。そのどれもが、理由不明だ。
だが、この状況の元凶だけは分かった。
さっきから立て続けに起こったイレギュラーな現象。その出発点にいた、一人の男。
「……テメエ、リーナに、皆に何をしやがったんだよ。ヒースクリフ……!!」
殺気を籠めた俺の言葉と視線に、奴は場違いな微笑みを浮かべる。その余裕綽々の態度が、俺の神経
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