Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 31. Instant Death・Immortal Life
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益体もねえことながらそうやって喋ってると、転移門から新しい一団が出て来て、こっちに歩み寄ってきた。全員が騎士装で、後ろ四人は白地に赤の装飾、戦闘の奴は赤地に白の装飾。ボス戦で散々見てきた攻略ギルド、血盟騎士団の連中だった。
「……欠員はないようだな。よく集まってくれた、諸君」
先頭に立つ男、ヒースクリフが低いテノールボイスで呼びかける。コイツにも、やっぱり緊張の色は欠片ほども見当たらない。律儀に敬礼するアスナに首肯で応えたあと、ヒースクリフは俺とキリトを見、いつものナゾ微笑を送ってきやがった。相変わらず、腹の読めねえ奴だ。
素直に首肯を返しているキリトの隣で、俺はリアクションをこめかみをピクッと動かすだけに留めた。ヒースクリフはそれを見て微笑を微苦笑に変化させた後、手を後ろに回し、一つの結晶を取り出した。
「それでは、目的地直前までのコリドーを開く……コリドー・オープン」
そう言って、奴は手に持った濃紺のクリスタルを掲げた。結晶はすぐに砕け散り、その場に即席のゲートを作り出す。街にしか飛べない上に対象が一人限定の転移結晶より高級なレアアイテム、回廊結晶だ。
登録した場所なら街でもダンジョンでも一発で飛べるし、効果時間内なら複数人が使える。その辺じゃ滅多に手に入んねえ代物だから、買おうとすると異常に高くつく。が、まあ今回のボス戦は相当以上にキツくなるのが目に見えてるから、道中の余計な消耗を避けるためにはこのアイテムの利用は妥当なトコだろう。
先頭切ってその光の渦へと入っていく血盟騎士団の連中。それに続くようにして、俺たちも中へと足を進める。転移特有の光で視界が埋め尽くされ、次に目に飛び込んできたのは、薄暗い迷宮の壁面と、最奥の巨大な門だった。アレが、今回のボス部屋の入口だろう。
後から続々と攻略組連中が転移してきて、各々ボス戦に向けて装備の最終調整に入っていく。とうの昔に済ませていた俺とリーナは、揃ってボス部屋の大扉を睨む。心なしか、いつも以上に重苦しい空気を放出するそれを見ていると、自然と脳内が戦いのそれへと切り替わる。
俺は手にした『鎖坐切』を鎖を揺らしつつ持ち上げ、一振りして自分の思考をさらに鋭化させる。リーナも似たような心境らしく、短剣を既に抜き放ち、いつもの戦前と同じように順手逆手に持ち替えて玩んでいる。
「……さて、皆。準備はいいかな」
しばらくして、十字盾を実体化させたヒースクリフが全体に呼びかけた。
「今回、ボスに関する情報はほとんどない。そのため、基本的には血盟騎士団が前衛で攻撃を食い止めるので、諸君はその間にできるだけ攻撃パターンを見切り、柔軟に対応してほしい。厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている――解放の日のために!!」
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