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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十三話 開戦前夜
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嫌な事って原作どおりになるんだな。

 将官会議も終わりオストファーレンへ戻ろうとするとミュッケンベルガー元帥に呼び止められた。
「あの老人、なにも判っておらぬようだな」
「申し訳ありません。説明はしたのですが」
「いや、卿を責めるつもりは無い。あの艦隊の実情には私にも責任があるからな。しかしこんな形で責任を取る事になるとは……。左翼には負担は掛けないようにするつもりだ。一戦すればあの老人も満足するだろう。うまく補佐してくれ」
「はっ。微力を尽くします」  
 
 一戦すれば満足する……。やはりミュッケンベルガーがグリンメルスハウゼン艦隊を使うのは最初の艦隊戦だけだろう。となると衛星ヴァンフリート4=2の戦いになるか。どうしても原作どおりになるな。しかしどうしたものか。単純に原作どおりに任せてしまうという手もある。無事にオーディンに帰れるかもしれない……。

 気になるのは今回の戦いは原作どおりに動いているように見えて実は完全に違う部分が有ることだ。帝国軍も同盟軍も動かしている兵力が原作より大きい。原作では帝国軍は三個艦隊ほど、同盟軍も二個艦隊ほどの戦力のはずだが、現実には帝国軍は四個艦隊、同盟軍は三個艦隊ほど動かしているようだ。帝国軍が多いのは判る、ミュッケンベルガーは再編した宇宙艦隊の実力を試して見たいのだ。グリンメルスハウゼンが出たいと言わなければ四個艦隊を宇宙艦隊から動かしたろう。

同盟軍が多いのはもしかするとアルレスハイム星域の会戦が影響しているかもしれない。あの敗戦の雪辱を、という奴だ。そこがどう戦局に影響するか。読み誤るととんでもない事になるが、大体読めるのか? 判断がつかない。兵力が多くなれば当然、戦術行動の選択肢は広がるだろう。原作には無い流れが出る可能性は高い、いや衛星ヴァンフリート4=2でそれほど大規模な艦隊戦が可能なのか?

 一つ一つ最善の手を取るほか無いだろう。原作知識は有効だが頼りすぎると危険だ。難しい戦いになった……。

 オストファーレンへ戻るとまた会議となった。各分艦隊司令官、参謀等が集まってくる。ラインハルト、リューネブルクもだ。結局この二人もグリンメルスハウゼン艦隊の所属となった。厄介者はまとめて一つにということなんだが、わかっているかなこいつら。

 会議が始まってすぐ、ラインハルトが意見を具申し始めた。火力の絶対数が不足しているから機動力で補おうといっている。具体的には砲艦を最左翼の後尾において時期を見て前進、迂回させ敵の右翼に砲撃を集中させるというものだった。いい案だった。グリンメルスハウゼンも”いい案だ”とほめている。しかし結局採用しなかった。経験から生み出した作戦案(こちらのほうが数が多いから無理せず押し切ろうというものだった)というのを提示して会議を終わらせた。


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