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アギトが蹴るアナザー
帝具を蹴る
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ランシャリオにめり込んでいたのだ。

「がはっ――!」
 ブーストで速度を増していた為に、より深く入ってしまっていた。そして勢いを無くしたウェイブへ回し蹴りがヒットする。
 彼はボルスとスタイリッシュがいる場所まで蹴り飛ばされた。
「きゃあ!」
「うわああ!」
 共に作業をしていた二人。他人がどうなっても全く気にも留めないスタイリッシュはすぐに横にそれた。しかし、大柄で優しいボルスはウェイブを受け止めようとした。
 だが、一旦それは成功したようにしたものの結局巻き込み、宮殿の内壁にめり込む形になってしまった。

「隊長〜! 新たに二名負傷しました〜!」
「治せ!!」
 スタイリッシュはわざわざ言わなくてもわかる事を一応報告しておく。案の定エスデスの返答はこんなものだが。
「馬鹿者めが……!」
 エスデスは苦言する。ウェイブは戦闘能力に関しては完成形している。だがやはり、判断力諸々が些か問題なようだ。

 グランシャリオはダメージの蓄積で既に解け、生身を晒している。ボルスも目立った外傷らしき物こそ見当たらない。
 だが壁とウェイブのサンドイッチで、呻き声を上げるほどに痛みを覚えた。
 その時アナザーアギトは口のクラッシャーを展開し、地面に浮かび上がる緑色の「アギトの紋章」の光を足先に吸収。必殺技『アサルトキック』の構えだ。
「スゥゥ……」
 という特徴的渋い声を小さく鳴らすアナザーアギト。

 イェーガーズもこの空気を肌で感じ取り、すぐ回避できるように態勢を変える。
 刹那、強襲の名の通り一瞬のモーションでエスデス目掛けキックを放つ。彼女はそれに反応し、避けようとした――だが。
(し、しまった――!)
 コウタロウに抱かせたままということを完全に忘れていた。非常にらしくない致命的なミスだ。興奮しすぎていたのが仇となったのだ。

 勿論本来の金色の戦士、仮面ライダーアギトの変身者である。コウタロウもぼぅっとエスデスに巻き付いていたわけではない。彼も抱きついたまま回避行動をとろうとしていたのだ……しかし、そんな姿勢で満足に動けるはずもなく、という事だ。
 そんな状態でも二人は経験ある戦闘者。直撃だけは避け、今キックで地面が抉られ発生した土砂埃に飲み込まれた。
「隊長ォーッ!!」
 セリューは安否が気になり、叫ぶ。

「ゴホッ……! 大丈夫かコウタロウ!」
 舞い上がった細かい砂埃が気管に入り、むせるエスデス。のんびりはしていられない。己の大事な恋人が側にいる。彼は将来、将軍級になる器がある。だがそれはあくまで、未来の話。今殺されてしまっては元も子もない。
「死ぬほど痛いぞ」
「な、何をする――! う、ぐああああぁっ!!」
 アナザーアギトはコウタロウの胸ぐらを掴み、最大高度の70mまで飛び上が
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