第三章
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「うちもってことですよ」
「じゃあやるか」
「お化け屋敷で」
「それでいこうか」
「じゃあ暫く臨時休業にして」
「お化け屋敷にしような」
こうしてだった、一浩は守道と家族と共に店の内装も外装も徹底的に変えた、とにかくお化け屋敷みたいなものにした。すると。
「あれっ、ここ食堂?」
「お化け屋敷じゃなくて」
「そうなんだ」
「食いもの屋か」
「カレーライスにナポリタンに」
何か不気味な蔦の中にある店の食品サンプルを見るとだ、そうしたメニューがあった。やけに不気味な感じで書かれている値段を見ると。
「安いな」
「ああ、いい感じだな」
「じゃあ試しに入ってみるか」
「そうしようか」
こうしてだった、最初の客が何人か入った。そして。
店の中に入るとだ、そこもだった。
「凄いな」
「本当にお化け屋敷みたいだよ」
「おどろおどろしくて」
「お店の中も」
「何が出て来るか」
「お店の人も怖い感じで」
「黒い魔法使いみたいな服で」
一浩と守道も見て言うのだった、そのうえで。
彼等は席に着いて守道に注文した、その注文したメニューは。
「カレーライス下さい」
「僕はナポリタンを」
「肉うどんを」
「ハンバーグ定食お願いします」
「オムライスを」
どれも洋食だった、だが注文してもだった。
彼等は店の中を見回してだ、こう言うだけだった。
「天井までな」
「怖い感じだよ」
「暗くて蔦が生い茂ってて」
「何か出そうで」
「大蜘蛛とか」
「あと蔦自体が襲い掛かって来るとか」
「そっちもありそうだな」
店の内装ばかり気にしていた、肝心の料理のことは期待していないというよりは考慮もしていなかった。だが。
その来た料理を食べてだ、彼等は目を瞠って言った。
「これは」
「美味い」
「それもかなり」
「いいじゃない」
こう言うのだった。
「いや、内装は凄いけれど」
「料理の味はな」
「絶品だよ」
「こんな美味い店そうないぜ」
味に驚いたのだ、カレーもナポリタンも絶品だった。
そして勘定を払ってもだ、それが安くて。
「この店いいな」
「そうだよな」
「じゃあまた来るか」
「そうしようか」
口々に言って店を後にした、彼等が最初でだ。
次の日もその次の日も客は来た、その異様な外装と内装に驚いてだ。
そしてそこで料理を食べて驚いてだ、彼等はネットや口こみで店のことを話していった。すると店は忽ち評判となって。
客が行列になる様になった、そして店の異様な姿と一浩の絶品の料理を楽しむのだった。彼の店は見事復活した。
店は大忙しとなり閉店とは全く縁がなくなった。その状況になってだ。
彼は閉店した後でだ、掃除をしつつ守道に言った。
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