第三章
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顧問の先生からだ、部活が終わった時にこう言われた。
「今度試合に出てもらうからな」
「あっ、俺がですか」
「御前もだよ」
俺が、ではなくというのだ。
「いいな」
「出ていいんですか」
「いや、出たくないのか?」
「出たいです」
岳は試合に出られると聞いて驚く気持ちを抑えてあらためて答えた。
「出ろって言われたら」
「そうだな、じゃあ頑張れよ」
「はい、わかりました」
「怪我にだけは気をつけろ」
強い声でだ、先生は岳にこうも言った。
「あれが一番怖いからな」
「わかりました、それじゃあ」
こうしてだった、岳は試合に出ることになった。それで。
意気込んで自主トレもはじめた、家から帰ってからラケットの素振りやランニングもはじめた。その彼を見て。
優花は岳にだ、登校中に言って来た。
「お兄ちゃん、いい?」
「また家事のことか?」
「今日は違うわよ」
「じゃあ何のことなんだよ」
「テニス頑張ってるわね」
「ああ、今度試合に出るからな」
それでだとだ、岳は従妹にありのまま話した。
「だからな」
「それでよね」
「毎日自主トレもしてるんだよ」
「怪我には気をつけてね」
優花もこう言うのだった。
「いいわね」
「それ先生にも言われたよ」
「そうでしょ、まずはね」
「まずは?」
「練習前の準備体操は忘れない」
まず言うのはこのことだった。
「それで後の整理体操もね」
「それもかよ」
「それと毎日柔軟体操は欠かさない」
優花は真面目にだ、岳に注意した。
「力士の人も柔軟をかそうした準備体操をしっかりしてるとね」
「怪我しないっていうんだな」
「身体がほぐれてしかも温まるから」
「動きもよくなって、だよな」
「そう、だから怪我をしないから」
「それは俺だって知ってるさ」
「知っててもよ」
優花の言葉は何時になく厳しい、真面目な顔で一緒に登校している岳に朝に話している。
「実際にやらないと」
「それでか」
「そう、準備体操と整理体操、柔軟体操は忘れない」
「絶対にか」
「柔軟体操はお風呂に入った後に」
その時にというのだ。
「毎日やるのよ、いいわね」
「じゃあお風呂もか」
「毎日入ってるわよね」
「当たり前だろ、それは」
このことはだ、岳も強くそれこそ反論する様に言葉を返した。
「俺だって毎日シャワーは浴びてるさ」
「そうよね、お兄ちゃんでもね」
「さもないと汚いだろ」
「ええ、ただね」
「ただ、かよ」
「お兄ちゃんシャワーをお風呂に替えてね」
こう岳に言うのだった。
「いいわね」
「あれっ、何でだよ」
「シャワーは身体を奇麗にするだけだから」
「それの何処が悪いんだよ」
「それだけじゃ駄目なのよ」
「だから
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