モルフォバタフライ
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絶な賭けだ。だから今の内に言っておく。……選ぶなら覚悟しろ、命を賭して私達の未来を取り戻したサバタ様のように。友の、仲間の、家族の命を背負って戦い続ける覚悟を抱くんだ」
「覚悟……」
「それが出来ないのなら、大人しく避難案を選ぶべきだ。高町の我が儘に、私達まで付き合う義理は無いからね。あぁ大丈夫、地球までは責任を以って送り届ける。元々アウターヘブン社は地球の企業だから、地元に帰るだけと言ってれば後はどうとでも言い分はつく。それはそれとして……もしちゃんとした覚悟を持って報復案を選ぶというならば……」
「ならば?」
そこで一旦言葉を区切ったマキナは、フッと笑みを浮かべる。まるでサバタを思い出させるような仕草を見せた彼女は、なのはの目を真っ直ぐ見つめて宣言する。
「私の力、貸してあげるよ」
「ッ!? マキナちゃん……!!」
「金さえ払えば」
「感動が一気に台無しだよ!」
「だってこっちにも生活かかってるし、金稼がないと食っていけないもの。まあ出世払いって事でしばらくは見逃してあげるけどさ、いつか返してもらうからそのつもりで」
何だかんだで協力してくれる事を明言した彼女に、なのはは戸惑いながらも喜びの表情を浮かべた。シャロン経由で事情を知るジャンゴとおてんこは、マキナがこの宣言をするという事がどういう意味なのか、少なからず察していた。
管理世界や管理局の思惑で故郷、友人、仲間、時間、崇拝した男を失ったマキナは、当然ながらそれなりに大きな報復心を持っている。管理局の人間と一緒にいる事すら嫌うまでに、その怒りは大きなものだった。……にも関わらず今、協力すると言った。それは彼女が、報復心と共存できるようになった事を意味する。シャロンの生存を知ったからか、それともなのはの境遇に自分を重ねて憐れんだからか、はたまた時間の流れが怒りを抑えたのか、それは本人にしかわからない。
ただ一つ、断言できるのは……マキナ・ソレノイドは味方である、という事だった。
「ま、決めるのは後で良い。リハビリで身体能力を取り戻し、義手を特別製にして使い慣れてからでも遅くは無い。ってか、まずそれが終わってからじゃないとどうしようもないからね。避難案も報復案も、結局高町が自由に動けるようになってから選ぶべき事だもの」
「あ、うん……確かにその通りだね。それで……特別製の義手って?」
「アウターヘブン社はその“テ”の技術者とコネがあってね。依頼して作ってもらえば、元の腕と同じ……むしろそれ以上に使いやすい腕を取り戻す事が出来る。地球に帰るにしろ、次元世界で戦い続けるにしろ、自由に動かせるのが片腕だけだと色々不便でしょ?」
「うん、そうだね」
「それと……ジャンゴさん、一ついい?」
「何かな?」
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