モルフォバタフライ
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なのに、出してきたのはなぜか魔導師……戦力は十分でも確実性、隠密性には欠ける。ぶっちゃけ、思想が一貫してないんだ」
「つまり……どういうこと?」
「私見だけど……上層部の間で意見が二つに割れているんだろう。一方は荒波が起こる前に高町を暗殺する勢力、もう一方は再び高町を英雄的象徴とする勢力。死んだはずの存在が復活し、英雄として奇跡を起こす。これってまさにどこかの宗教みたいでしょ? 英雄派の思惑は十中八九これだ、これがあるから暗殺派の主張を抑えられてるんだと思う」
「じゃあ私が今ヴィータちゃん達に会いに行っちゃいけない理由、それってもしかして……」
「そう、暗殺派だ。英雄派はまだしも、暗殺派は高町の生存が知られるのを防ごうと、ありとあらゆる手段を使ってくる可能性が高い。それこそ、接触した人間全てを闇に葬るぐらいに……。なにせ暗殺派には高町を撃墜した髑髏という手札がある、そしてそれの使用を抑えられるのは現状では英雄派のみ。友人達との迂闊な接触は、彼女達の命の危機を自ら招く事を意味する。だから会いに行くのはやめた方が良いんだ」
「そっか……皆を守るためなら、辛いけど仕方ないね……」
「でも対処法や抜け道が無い訳じゃない」
「え?」
「方法は二つある。まず一つは高町の故郷……地球に帰る事だ。あそこは今も管理外世界、管理局の手が及んでいる訳じゃない。だから事情を話して家族の下に戻って、二度と魔法に関わらない生活を送れば、少なくとも襲撃の危機は最小限に抑えられる。高町家の人間はサバタ様が認める程の手練れ揃いだから守りは大丈夫、それに友人達との接触も地球だけに限れば少しならできる。まあ要するに“避難案”って訳だ」
「家族に頼る事が避難案……。じゃあもう一つは?」
「かつての名声を越える事だ、それも自力でね。都合の良い仮初めの名声、見た目だけは華々しい造花の如き栄光、管理局が自分達のために着飾った欺瞞に満ちた称号……エターナルエース。それを脱ぎ去り、打ち倒すんだ」
「過去の私を……超える……」
「さしずめ“報復案”と言った所かな。なぜ名声? という疑問はあるだろうから一応説明すると……英雄派は高町の名声の強さによって発言力が決まる。英雄派の発言力が強まれば、暗殺派の意見を封殺する事ができる。そうすれば高町の自由度は徐々に高まって襲撃される可能性も減り、いずれ昔のように友人達と一緒にいられるようになる。もちろん過去の発表が嘘だった事で管理局の立場は悪化するだろうけど、その分は高町が復活させた名声がカバーしてくれる。ただ……これは常時襲撃を想定しなくてはならない、命懸けの綱渡り……一世一代のギャンブルの道だ。一度転落すれば、今度こそ全部終わる。高町だけじゃない……家族、友人、関係者全てを巻き込む壮
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