第四章
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「欲しいと思ってたの、サラファンも好きだし」
「それじゃあね」
「今からよね」
「これから持って来るよ」
そのサラファンをだ、こう答えてだった。
婆さんは一旦安楽椅子から立った、そして。
自分の部屋に入ってだ、そこからだった。
服を持って来た、そのうえでエリザベータに言った。
「これに着替えておいで」
「そしてよね」
「私達の前に戻っておいで」
こう優しい笑顔で言うのだった。
「いいね」
「それじゃあね」
エリザベータも祖母の言葉に頷いてだ、その服を受け取り。
自分の部屋で着替えて祖母と母のところに戻った、その服は。
胸まである下が広くなっているスカーレッドのドレスだ、前のところと端は黄色とオレンジの二色の模様で彩られていて肩から紐でつられている。
ウエストの高い場所に切り替える場所がありスカートのところに全体に裏地を張ってそこにプリーツやギャザーを入れていて裾が広がっている。
ブラウスは白く裾を縛っている。肩のところには赤や緑、白て奇麗な縞の模様を入れている。
真珠を散りばめた赤い冠の様な帽子、ココシュニックというそれまで頭に着けている。そして靴は黒である。
その孫娘の姿を見てだ、婆さんは目をこれ以上はないまでに細めさせて言った。
「いいね」
「そんなにいいの?」
「ああ、その格好で外に出たらね」
それこそというのだ。
「誰も放っておかないよ」
「そうなのね」
「祖父さんもね」
今はすっかり楽隠居のだ、婆さんの亭主はというと。
「私がその服を着てお祭りに出ている時にね」
「声をかけてきてよね」
「知り合ったんだよ」
「じゃあ私も」
「ああ、そうだよ」
優しい笑顔でだ、孫娘に言うのだった。
「絶対にね」
「この服を着ていたら」
「絶対にいい人と巡り会えるよ」
「そうなのね」
「その赤いサラファンを着てるとね」
「じゃあこの服貰っていいかしら」
「その為に出したんだよ」
これが婆さんの返事だった。
「じゃあいい人とも会うんだよ」
「そうするわ」
「私はサラファンは好きじゃなかったから」
母も娘に言って来た。
「貰わなかったけれど」
「それでもなの」
「そう、その服を着てね」
そのうえでというのだ。
「楽しんでそして」
「幸せによね」
「なるのよ、いいわね」
「そしてこのサラファンは」
「あんたに娘や孫が出来たらね」
「その娘によね」
「あげるんだよ」
婆さんは自分の様にとだ、エカテリーナに言った。
「そして代々ね幸せを渡していくんだよ」
「お祖母ちゃんがそうなったみたいに」
「あんたの娘や孫娘にもね」
是非にと言う婆さんだった、そしてエカテリーナもだった。
そのサラファンを着たうえで笑顔で頷いた
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