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消えた凶器
1部分:第一章
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でわかったのだな」
「はい、わかりました」
 まさにそうだというのだ。わかったとだ。
 だが、だった。警部はだ。
 ここでだ。署長にこう話した。
「しかしわかったのはここまでです」
「凶器は何だった?」
「それがわかりません。そして」
 さらにだった。この事件についてどうかとだ。警部は話した。
「容疑者は容疑を否認しています」
「凶器がなければどうして殺したかまではわからないからな」
「当然指紋等も見つかっていません」
 凶器が見つかっていないなら当然だ。肝心のそれがだ。
 そうしたことを話してだった。警部は。
 署長にだ。こんなことも話した。
「ただ。執事は愛犬家でした」
「犬は誰でも買っているだろう」
 さして珍しいことでもないとだ。署長はこのことについては素っ気無く返した。

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