第二章
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「嫌になる位にね」
「それじゃあ」
「今年もよ」
これがジュリエッタの返事だった。
「お父さん一緒よ」
「そうね」
「あとジュゼッペもだから」
「兄さんも」
「そう、ナターレさんとね」
二人でというのだ。
「一緒にね」
「二人共そろそろよね」
「ええ、結婚よ」
その時だというのだ。
「やっとね」
「付き合って十年で」
「あんたはそんなことにならない様にね」
「結婚するならっていうのね」
「若いうちによ」
それをしておけというのだ。
「結果としてそれが一番いいから」
「結婚したら遊べないでしょ」
何故兄達が中々結婚しなかったのかをだ、マリアは知っていて言う。それは若いうちはもっと遊びたかったからだ。
「子供が出来たりして」
「子供は出来ていいの」
「そうなの?」
「若いうちに沢山生んでおけってことよ」
かなり率直にだ、母は娘に言った。
「子育ては戦争だから」
「それでなの」
「若いうちに結婚してね」
「それで若いうちになの」
「子供を作っておくの」
そうあるべきだというのだ。
「あんたもいいわね」
「別にね」
イタリア風のその石造りの白い屋根はオレンジの家の中でだ、ジュリエッタは首を傾げさせて母に返した。
「私はね」
「ジュゼッペと同じ考え?」
「そもそも彼氏もいないし」
「そういうのは作るの」
自分でというのだ。
「捕まえるのよ、お母さんみたいに」
「お父さんをそうしたみたいに」
「これぞっていう相手をね」
「そうなのね」
「今のうちに見付けなさい」
「まだ高校生だけれど」
「もう高校生よ」
同じものを見ていての違う見解だった、母娘で。
「それならよ」
「今からなの」
「誰かいい人見付けなさし」
「このお祭りでも」
「お祭りの時こそそうした相手を見付ける時よ」
「遊んでいていいじゃない」
自分の意見をだ、マリアはとにかく言った。
「というかお母さん幾ら自分が十代で結婚したからってね」
「こういうこと言い過ぎっていうのね」
「そうよ、本当に」
「言い過ぎじゃないわよ、結婚はするでしょ」
ここでは独身主義者のことを考慮に入れないで言うジュリエッタだった、もっと言えばジュリエッタは独身主義者は人生をわかっていないと嫌っている。
「それなら早いうちよ」
「お祭り楽しみたいのに」
「そういうのは相手見付けてから言いなさい」
まだ言う母だった、だが娘は母のそうした言葉は聞いても反発していた。
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