第一章
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ブットネーラ
サルディニア島といえばイタリア王国発祥の地だ、この島からイタリア統一は本格的にはじまったと言っていい。
そのサルディニア島の初夏の祭りである聖エフィジオ祭に向けてだ、町の人達は今はかなり慌ただしく働いていた。
その中でだ、地元の高校に通っているマリア=ジットネーゼは下校中にその街の中を歩いてだ。
一緒に歩いているクラスメイト達にだ、微笑んで言った。
「いいわね、もうすぐね」
「お祭りね」
「エフィジオ祭ね」
「それが楽しみ」
「そう言うのね」
「そうなのよ、今年はね」
その小柄な身体を弾ませて言うマリアだった。背は一五〇程で黒髪を後ろに長く伸ばしている。目は黒く少し垂れ目な感じだ。顔の彫はあまりないが鼻は高めで愛らしい唇が目立つ。黒と白、赤の制服がよく似合っている。
「お父さんが服買ってくれたし」
「それどんな服?」
「一体どんなの?」
「まだ見せてもらってないけれど」
その服はというのだ。
「それでもね」
「楽しみなのね」
「その服を着られることも」
「そちらも」
「ええ、お祭り自体も楽しみだし」
言うまでもなくこちらもというのだ。
「色々とね」
「最近エフィジオ祭どんどん賑やかになってるしね」
「人もお店も増えて」
「ドイツ辺りから観光客も来て」
「面白くなってるわね」
「そう、だからね」
それでとだ、また言ったマリアだった。
「楽しみよ、じゃあお祭りの時は」
「その服を着て」
「それで出るのね」
「そうするのね」
「そうするわ、じゃあ皆お祭りの時は」
その時のこともだ、マリアは友人達に言った。
「皆で色々楽しみましょう」
「美味しいもの食べて」
「色々買って」
「そうしてね」
「楽しく過ごしましょう」
「是非ね、まあ今はね」
その周りの雰囲気を見つつだ、マリアはこんなことを言った。
「準備中ね」
「そのお祭りのね」
「その時のね」
「それを見るのも楽しいのよね」
にこにことして言うのだった。
「どんなお祭りになるのか」
「そう思うだけで楽しい」
「そういうことね」
「そう、じゃあお祭りの時は今以上にね」
皆で楽しもうとだ、マリアは皆に言ってだった。彼女の家に帰った。そして家で飼っている猫達に御飯をあげてからだった。
母のジュリエッタ、自分より小柄であるが母親だけあってよく似ている顔の彼女にだ。マリアはこう尋ねた。
「お母さんは今年のお祭りどうするの?」
「どうするのって?」
「だから毎年通りなの?」
「お父さんと一緒に出るか」
「そうするの?」
「他に誰と行くの?」
これが母の返事だった。
「一体」
「そう言われると」
「浮気してその相手と行けって言うの
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