第36話 戦場の記憶
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しかしゼロのオリジナルボディの本来の持ち主であるゼロを危険視する者達によってとある研究所でゼロの封印作業が行われていた。
それを聞きつけたエックスはそれを止めさせようと、研究所に乗り込んだのだが…。
“完全封印までもう時間がありません。既に機能停止が始まっているので満足な会話など出来るかどうか。”
エックスがゼロの封印場所に入ると、ゼロがコードや機械によって体を巻かれているのを見た。
“ゼロ!!”
エックスが叫ぶと少しだけ意識が戻ったゼロはゆっくりと目を開けて顔を上げる。
“エック…ス…か…”
“君は…これでいいのかい!?今までみんなのために戦ってきたというのに!こんなのって!!”
今までゼロは沢山の物を失ってまで戦い続けてきたと言うのに、その果てがこんな仕打ちであるなんて納得出来ずにエックスがゼロに問う。
ゼロは機能停止によって満足に動けなくなりながらもゆっくりと口を動かす。
“俺がいる限り…血塗られた歴史は繰り返される…。”
“そんな…!何言ってるんだゼロ!!”
“俺は…ルインに助けられ…あいつが死んだ時から…いつも考えていた…誰のために…何のために俺達レプリロイドは殺し合わなければならないのかと…。そんな時でも、お前は…あいつの最期の願いを叶えるために…そして、人間達のことを信じ続けていた…。俺は友として…お前を信じている。だからお前の信じる人間達の言葉を…信じたい…。”
〈最終カウントダウン5…4…〉
“止めろ!今すぐ封印を止めてくれ!!”
“いいんだ…エックス…後…半分は…。”
〈1…0!!〉
エックスは親友との永遠の別れに膝を付き、泣いた。
そして妖精戦争から百年の年月が流れ、自身のボディに封じたダークエルフの封印をより堅固な物にするために、自身はネオ・アルカディアを離れた。
そして、混乱を避けるために造られた自身の影と言えるコピーエックスの人間重視の政策により、弾圧されたレプリロイド達と、コピーエックスを製作したシエルが目覚めさせたゼロ。
それを見た時、エックスの心は歓喜に震えた。
親友が戻ってきた。
強制的に目覚めさせられたから以前の記憶は失ってはいるが、ゼロが戻ってきたのだ。
それからは出来るだけ、ゼロ達の力になれるようにネオ・アルカディアのコンピュータに細工や秘密裏に情報を与えるなどして、それは確実に自身の力と命を削る行為ではあったが、エックスはもう構わなかった。
ダークエルフを自身に封印した時点でまともな死に方などしないと確信していたから。
恐らくはサイバーエルフとしての力を使い切り、ひっそりと消えていくのだろうなと思っていたのだが、自身の覚悟を大きく揺らがせる事態が起きたのだ。
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