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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第8話 彼の来た理由―後編
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だ。

「……でも、それとラディ陸曹の瞬間移動になにか関係があるんでしょうか?」

 口を開いたのはエリオだった。
 
「ラディ陸曹の歩法は確かにすごいです。でも、それではあんな瞬間移動はできません」

 無礼だとは分かっても、エリオはシグナムのラディの瞬間移動の説明を切り捨てた。
 普段は謙虚で礼儀正しい彼だが、ラディと同じ陸戦、高機動の騎士としてシグナムの説明に口を挟まずにいられなかったのだ。
 だがエリオのその疑問は、彼だけのものではなかった。
 ただ口を出さないだけで、その場の全員が同じ疑問を持っていた。
 確かに、ラディの歩法はすごい。だが、それだけなのだ。
ラディの歩法はあくまで人の技。奇術でもなく、魔法ですらないあの技では、あの瞬間移動は説明できない。
 
 部下であるエリオからの苦言に、シグナムは特に気にした様子もなく、ただ一言、そうだ、と返した。
 あっさりとシグナムの一言にエリオは何か言おうとして口を開くが、それを押さえつけるようにシグナムは言葉を続ける。

「ラディの跳躍の歩法だけでは確かにあのような瞬間移動はできない。だが、もし、そこに他の “技術(トリック)” を混ぜたら……どうなる?」

 技術(トリック)という言葉にエリオは頭を傾げる。そんなエリオの様子にシグナムは彼女にしては珍しい悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「跳躍体勢から地面に足を着けて方向を変えるとき、それまでの移動速度より遥かに速い速度で加速する。その際、移動し終わるまで膝から下以外を一切動かさない――そういった “技術(トリック)” を混ぜていたなら、果たしてどうなるだろうな」

 その場の全員が目を見開いた。
 魔法を使った高機動戦において、目の果たす役割というのは思いの外少ない。
 なぜなら目がついていかない速度で戦闘が行われるからだ。
 そのため高機動戦においては相手を目で捉えることよりも、目で捉えた動きから相手がどう動くのかを予測することの方が重要になる。
 相手の身体が横に傾けば側面から回り込んでくる、後ろに引いていれば距離を空ける、のように、相手の予備動作から次の動きを予測し対処する、いわゆる見切りの能力が高機動戦においては重要なのだ。

 だがもしシグナムの言うとおり、その予備動作がない状態で高速移動されたら、どうなるか。
 しかもそれまでの目が慣らされたスピードとは桁違いの速さで動かれたなら、まず間違いなくラディの姿を見失うだろう。

「それまでとは違う速さで、しかも予測できない方向に動かれれば、誰もがメイフィルスの姿を見失うだろう。しかもメイフィルスはそれらを膝から下だけで行う。派手な武器や上体の動きにばかりに気を取られていたなら、ヤツを見失うことは難くない」

 走る高さと変わら
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