第九十七話
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こにはいた。どうせシリカ辺りが無理やり扉を開けたんだろう、と思っていたこともあり、そこにルクスがいるとは予想外だった。予想外とはつまり、ルクスがするとは思えない行動ということであり……その非日常を証明するように、そこには彼女の姿だけてはなく、見知らぬ人間がもう一人。
「あ、ああ。ショウキさん。すまない、ちょっと匿ってくれないか」
「匿う?」
ルクスの癖であるその男らしい口調にも慣れた。彼女が肩を掴んでいた、VRの対象年齢ギリギリなような小さな女の子――もちろんアバターな訳だが。ルクスに庇われるような格好で立った、どこかの民芸品を思わせる少女は、俺の目を見てニコリと笑った。
「プリヴィエート。ショウキ……だったわよね?」
「プリヴィ……はい?」
藍色の帽子から覗く銀髪の少女が髪をかき分けながら、耳に慣れない言葉で会釈する。その間にも銀髪の少女を担いだルクスが、店内をキョロキョロと見渡しており、店のカウンターへと二人で隠れ始めた。大柄なルクスは限りなくギリギリなようだったが、何とか机の下に隠れることに成功したようだ。
「と、とにかく。ちょっと匿ってくれ!」
店のドア側から見ると、ルクスの声だけしか聞こえない。少し探せば丸分かりだが、まあ一応即席にしては上出来だろう。その程度の出来ならば、隠れる場所としてリズたちがいる工房を勧めようとした瞬間。
「失礼する」
再びリズベット武具店の扉が開く。物音がした瞬間にルクスたちの物音は止み、店にプレイヤーの集団が入店する。その物々しい雰囲気は、とてもお客様だとは思えない。警戒する俺に対して、一人のプレイヤーが突出した。
普段の俺と同じように刀を腰に差した、長身のウンディーネの青年。そのプレイヤー集団のリーダー格らしく、殺気立ったメンバーを制していた。
「驚かせてすまない。帽子を被った少女。スプリガンの少年、シルフの少女。そのいずれかが来ていないか?」
三名のうち二名が当たりだった。さらにスプリガンの少年については、心当たりがありすぎて仕方がない。また厄介ごとを持ってきたらしい、ここにはいないキリトに内心毒づいておくと、そのお客様ではない集団に対応した。
「お客様の中にそういうお客さんがいたかもしれないが、そういうことじゃないんだろう? 知らないよ」
「…………」
ウンディーネの青年はその刀のような鋭い眼を細め、俺を品定めをするかのように見つめていた。そのまま工房へと伝わる入口に目を向けたが、その前に俺がウンディーネの青年の前に立ちはだかった。
「……ここから先は企業秘密だ。レプラコーンとして」
「……確かにそうだな。何度も失礼した」
同じか、こちらより少し高い目線の青年と向かい合う。一瞬だけ、一触即
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